上期好調も課題は山積み? 吉田昭夫社長が語った「イオンのこれから」

雪元 史章 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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中計で掲げた6つの成長戦略に対する評価は…?

 (21~25年度の)中期経営計画においては、「DX」「商品」「ヘルス&ウェルネス」「アジア」「ローカライゼーション」、これらに「GX(グリーン・トランスフォーメーション)」を加えた、合わせて6つの領域での成長戦略を掲げている。

 まだ1年半が経過した段階であるが、「DX」に関していえばネットスーパー事業では700億円くらいの売上をあげられるようになった。キャッシュレス化の取り組みも進んでおり、足元では有人レジが1レーンのみで、あとはセルフレジか「スキャン&ゴー」によるセルフ決済という、(レジ周りは)ほぼ無人の店舗もつくっている。SMにおけるレジの人件費率は25~30%に上るが、それをDXによって効率化するという目に見える成果が出始めている。とはいえ、DXの取り組み全体については全然満足していないし、まったくもって遅れているという認識だ。

 「商品」については、PBの販売量をかなり伸ばすことができている。会社(イオン)にとってのPBの重要性を皆が認識し始めたことが大きい。

 一方で課題なのは「ヘルス&ウェルネス」だ。現状、DgS事業に頼っているが、すべての事業がヘルス&ウェルネスを軸にすべきである。これについては来期、重点的に取り組んでいく。

 「地域」に関しては、エリア単位での再編・運営はできているが、ここに”オンラインの網”が全然かけられていない。OMO(オンラインとオフラインの融合)を地域単位でできるようにしないといけないが、ここは遅れている

 「アジア」は前述のとおりベトナムへの注力が数字に出ている。100点、とはいえないが満足はしている。ベトナムでは人員強化や用地確保を進めており、将来の国の伸びにわれわれが乗っかっていけるようにしたい。

 そして「GX」については、いまだ社会貢献的なイメージにとどまっているのが現状だ。これをいかに「事業」としてとらえて取り組みを進められるかが課題だ。

 

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記事執筆者

雪元 史章 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

上智大学外国語学部(スペイン語専攻)卒業後、運輸・交通系の出版社を経て2016年ダイヤモンド・フリードマン社(現 ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。企業特集(直近では大創産業、クスリのアオキ、トライアルカンパニー、万代など)、エリア調査・ストアコンパリゾン、ドラッグストアの食品戦略、海外小売市場などを主に担当。趣味は無計画な旅行、サウナ、キャンプ。好きな食べ物はケバブとスペイン料理。全都道府県を2回以上訪問(宿泊)。

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