上期好調も課題は山積み? 吉田昭夫社長が語った「イオンのこれから」

雪元 史章 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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イオン(千葉県)が発表した2022年度上期連結決算は、営業収益が4兆4871億円(対前年同期比3.3%増)、営業利益が958億円(同23.3%増)、経常利益が 953億円(同22.3%増)、当期純利益が 180億円(293.1%増)の増収増益だった。コロナ第7波の到来や原材料費・水道光熱費等の高騰など外部環境が厳しかった中で、営業収益、営業利益、経常利益は過去最高を更新するなど好調を示している。そんななか、イオンの吉田昭夫社長はグループの現状、そしてそれを取り巻く環境をどう認識しているのか。決算発表での発言をまとめた。

経験ないレベルの「複合的要素が重なる期間」だった

上期決算発表を行うイオンの吉田昭夫社長
上期決算発表を行うイオンの吉田昭夫社長

 上期はコロナの逆風を受けていた事業と、追い風に乗っていた事業が”クロス”する期間だった。7月上旬からコロナ感染の第7波に入り最大のピークを迎えたのに加え、記録的猛暑など天候の影響も大きかった。さらにそのタイミングで急速に進行した円安の影響により、エネルギーコストや原材料費が継続上昇。経済停滞下でのコスト上昇で「コストプッシュ型のインフレ」が加速した。イオンとしても経験したことないような複合的要素が重なる期間になった

 期初には、9月以降にもう一度(コロナの)感染数が増加すると予想していた。しかしそれよりも2カ月前倒しで感染者数が高止まりする状況になり、客数が回復基調だったGMSやモール、専門店事業に逆風が吹いた。ただ、これからは「ウィズコロナ」を前提とした社会への移行が本格的に進むと考えている。

「二面性の消費マインド」が加速する

 足下では先の見えないインフレが顕著になっている状況で、(消費者の)生活防衛意識、価格に対する感度は日増しに高まっている。その一方で、コロナ禍では”できなかった活動”への消費が増え、付加価値型商品へのニーズも上昇しているようだ。

 このように相反する要素が入り混じった二面性の消費マインドが強まっている。そのなかで購買行動はいっそうメリハリがきいたシビアなものになるだろう。提供する商品・サービスの独自性がより重要さを増していく。いままで以上に、変化するお客さまを理解することが必要となり、それに対応する商品戦略や営業活動を着実に行わないといけない。

ウエルシアとベトナム事業が好調

イオン九州とウエルシアHDが合弁会社「イオン九州ウエルシア」を立ち上げた
イオン九州とウエルシアHDは合弁会社「イオン九州ウエルシア」を立ち上げた

 上期を振り返ると、まず経費の面において、原材料価格、物流費、人件費などコストが上昇した。とくに大きく影響したのは電気料金の高騰だ。上期の水光熱費は、前年同期から250億円弱も増加している。

 ただ、店頭やバックオフィスでの節電に努めたほか、機器切り替え、レジ周りや店頭作業のデジタル化(による業務効率化)を進めていたことから、販管費全体ではコントロールできた。上期の成果を(下期以降も)継続的に出していくことで、(経費高騰による)経営へのインパクトを吸収していく。

 売上については、ウエルシアホールディングス(東京都)が好調だった。コロナ拡大の中で検査キットや解熱剤のニーズを察知し十分な在庫を確保し売上を押し上げることができた。

 また中長期目線での取り組みとして、イオン九州(福岡県)とともに「イオンウエルシア九州」を設立した。調剤併設型ドラッグストア(DgS)と、生鮮食品スーパーの強みをシームレスにつなぎ、フード&ドラッグを展開する。DgS業界では食品へのラインロビングが盛んだが、DgS企業が食品という新たな領域において本格的なインフラを構築するためには、M&A(合併・買収)や莫大な投資が必要になる。しかし、グループ企業同士のアセットやノウハウを組み合わせれば、短期間での業態構成が可能だ。

 海外事業については、中国では引き続きゼロコロナ政策の動きなどを注視する必要があるが、アセアン事業はコロナ前消費への移行が日本以上に早いことから好調に推移している。

 なかでも特筆すべきはベトナムで、上期営業収益はコロナ前の対19年度比で176%、営業利益も約2倍に拡大している。SPA型商品開発の積極化、中食需要の拡大に合わせた総菜売場の拡大などで、競合との差別化につなげている。このベトナムにおいては今後、ショッピングセンターやGMS、SM、コンビニエンスストアなどマルチフォーマットでの展開をめざす。

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