「GO GREEN」チャレンジ宣言でSDGsを従業員一人ひとりの自分ごとに
小さな行動の積み重ねで、豊かな未来へとつなげていく
とかくSDGsは大仰に捉えられがちだが、一人ひとりが半径500メートルの世界をちょっと良くすることが大事と山元氏は言う。
「身の丈に合ったことを集合体で行えば、一つのムーブメントになります。会社が何をするかではなく、自分が何をするかを考えようと呼びかけました」(山元氏)
バイヤーならば、開発した商品が完売すれば、フードロスの削減につながる。あるいは、ノントレイ商品を増やせば、ゴミが減り、環境にもやさしい。それぞれの役割の中で、ほんのちょっと気を遣うだけで、自分たちの暮らす社会が少しずつ良いほうへと変わっていく。一人の100歩より100人の1歩が大切だと伝え続けた結果、それぞれの店長がしっかりと受け止め、自分たちのGO GREENな活動を展開している。
例えば、コロナ禍で社会科見学ができなくなった地元の小学校に出向き、出張授業を行った店長もいた。小学生たちが喜んだのは言うまでもない。日頃から地域と向き合い、連携してきたからこそ実現できたことだ。こうした事例は「生きる糧の種」として、社内SNS で共有される。この1年で1000件あまりの事例が集まり、1万件ちかくの「いいね」があったという。共有することで、「自分たちもやってみよう」と伝播し、自発的な取り組みが次々と生まれている。現場発のアイデアを全店に導入するケースも少なくない。
「生きる糧の種」の事例はデジタルで共有するだけでなく、紙に出力したものを本部の1階に貼り出しているため、従業員だけでなく、取引先などもGOGREENな活動を知ることができる。おかげで、社会に向き合っている会社として企業姿勢を評価されることが増えたと山元氏は話す。
「一人ひとりが考えて企画して行動する。それが連鎖していくと、持続性が担保され、好循環が生まれます。こうした草の根運動的なことがSDGsの達成のためには大事であり、小売業においてはそういうアプローチのほうが持続するのではないでしょうか」(山元氏)
SDGsに対応した店舗を今年4月にオープン
サミットでは、22年度を最終年度とする3カ年中計のテーマに「GO GREEN2022~社会に必要とされる新しいSMの創造~」(以下、GG2022 )を掲げている。ステークホルダーに「お客」「社員」「取引先」だけでなく「社会」を加え、単に食材を提供するにとどまらず、事業を通じて高齢化や環境保護などの地域社会の課題にも貢献し、SMの枠を超えた存在になることをめざしている。「GO GREEN」チャレンジ宣言は、まさにここから来ているものだ。
この中計GG2022を体現する店として、今年4月にオープンしたのが「サミットストア世田谷船橋店」だ。環境への配慮や防災対策、地域コミュニティとともに行うイベントなど、「GOGREEN」な取り組みが行われ、SDGsに対応した店舗運営を実践。小売業界から大いに注目されている。
「私たちの取り組みはすべて『サミットが日本のスーパーマーケットを楽しくする』という事業ビジョンの実現に向けたものです。これが伝播すれば、きっと社会は良い方向に向かい、小売業のプレゼンスも上がることでしょう。これからも従業員一人ひとりが社会課題に向き合い、お客さま、お取引先さま、地域、社会と連携して、持続可能な未来のために取り組んでいきたいと思います」(山元氏)