福島地盤のアパレル企業、ハニーズHDはコロナ禍でもなぜ好調なのか

崔順踊(リテールライター)
Pocket

「高感度・高品質・リーズナブルプライス」をキーコンセプトとして掲げ、10代~60代の幅広い年齢層に向けたアパレルを製造販売しているハニーズホールディングス(福島県)。
同社は7月5日、2022年5月期通期業績を発表した。新型コロナウイルスの影響やアパレル不況と言われる状況下、独自の開発戦略やSNS活用によって同社の業績は好調に推移した。

コロナ禍にも拘わらずハニーズの業績が好調だ

コロナ前以上の需要回復によって売上・利益が回復

 ハニーズホールディングスの22年5月期決算は、売上高が対前期比5.1%増の476億円、営業利益が同32.5%増の49億円、経常利益が同27.3%増の50億円、当期純利益が同35.4%増の32億円で増収増益となった。

 売上高については第3四半期までは新型コロナウイルスの影響によって苦戦したが、第4四半期において今年3月以降の外出制限緩和に伴う人流回復や春先のオケージョン・通勤需要の増加、GWのお出かけ需要などによりコロナ前以上(2019年5月期)の需要があり、増収で着地した。

 売上総利益率も同1.2%増の60.3%となった。商品の適時投入によるプロパー消化の促進、販売チャンスロスの低減、値引き販売の抑制、EC事業の伸長などが寄与した。また、ミャンマー事業は売上高が同48.1%増となっており、生産効率向上による収益改善によって連結業績にも貢献した。

自社ECサイトの拡充が成長を牽引

 現在、ハニーズホールディングスの自社ECサイトの売上高は、EC売上高の約6割程度となっており、同事業の成長を牽引している。自社アプリのリニューアルや2022年4月からは自社ECサイトにおける店舗受取機能を導入するなど利便性や機能性の向上に注力したほか、イベント開催による販促活動を積極的に行った。また、ルームウェアや下着など需要に沿った商品やオケージョン関連商品なども展開したことにより、利用状況も順調に推移している。

 ミャンマー事業では、コロナ禍の影響で9日間の操業停止期間があったものの、生産効率向上に取り組み、安定的な商品供給が実現できた。同国からの仕入れ構成比率は同6.2%増の44.4%となり、仕入れ原価の低減に貢献している。

 原材料や輸送コストの値上がりは継続しているものの、原材料は早期の確保や集約などで対応、輸出対応については複数のフォワーダー(荷主と運送業者をつなぐ事業者)使用することによってリスク回避をしている。

 生産国別仕入状況(洋服のみ)としてはバングラデシュ26.9%、カンボジア10.8%、ベトナム7.9%、中国9.4%と引き続き高いアセアン生産比率を維持しており、適時・適切な生産国やサプライヤーへの発注を行っている。

1 2

ハニーズの記事ランキング

まだデータがありません。

関連キーワードの記事を探す

© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態