ZARAとユニクロだけがなぜ余剰在庫を撲滅できるのか?本人達も気づいていないメカニズムとは
日本型QRとZARA型MDの決定的な違い
![Photo by borchee](https://diamond-rm.net/wp-content/uploads/2020/01/iStock-532022947.jpg)
日本のアパレル企業の多くは、神戸の某名門アパレルが開発したシステムをデファクトとして使っているが、このシステムには構造的な欠陥がある。それは、商品コードで売れ筋や死に筋を追いかけるというやり方に潜む。
一例として、システムがパンツ、スカート、ニット、シャツなど、アイテム毎に商品区分をしているとする。その時、パンツAが猛烈に売れ、パンツBが全く売れていなかったら、そのシステムを利用している企業は、パンツAを「作り増し」して追いかけるというやり方をする。しかし、実際は、パンツAとパンツBを比較したとき、大事なのは商品コードではなく、そこにある「デザイン上の違い」だ。つまり、「商品コードではなく「
そのパンツのデザイン上の「違い」、つまり「トレンド・コード」が「見える化」されているZARAは、「ああ、わたりが太めで、ミリタリー調のカーゴが売れているのか」と分析し、パンツAと同じ素材かどうかにこだわることなく、あらかじめ備蓄した素材を使い、「生産リードタイム」でなく、「縫製リードタイム」で、最短一週間で生産することが可能なのである。
これに対し、日本のアパレル企業は30年も前に作られたシステムが持つ「商品コード」で売れ筋を追いかけるから、基本的に「同じ素材」、「同じ工場」、「似たようなデザイン」で追加生産をする。だから、素材探しや素材開発からはじまり、商社にいわせれば、「追加生産は1.5ヶ月から2ヶ月かかります」となるわけだ。
私は、この話を日本のアパレルの重鎮達と話したことがあるが、彼らは一瞬口ごもり、「素材が一緒でなければ売れないのだ」と怒鳴りだした。また、ある上場企業の社長は、「うちはそんなバカなことはやっていない。作り増しをするときは、全く違うデザインでやっている」と豪語していたが、そのあとMD長と話す機会があった時、彼は「目から鱗が落ちた、こんな考え方は初めてだ」と言っていた。某巨大アパレル出身のその社長はその後更迭されたが、全く現場を分かっていないことが露呈したことになる。
ファーストリテイリングが言う通り、素材リスクをアパレルが持つなら、「縫製リードタイム」は一週間もあれば対応可能だ。だが、そのトレードオフとして、初期的に、生産ラインを購入する必要が生じたり、素材開発から製品化、仕入れて売り切るまで18-360日もかかる結果、キャッシュコンバージョンサイクルが悪化する。そこで、ここに商社金融を使えば極めて安価にキャッシュフローを気にせずものづくりができるわけだ。それなのに、「直貿だ」と豪語し、金利が10%を超える途上国にヘッジすれば(日本のアパレルの直貿は、工場に素材を買わせている)、高金利がFOB (アパレルの仕入原価)にそのまま乗ることになる。
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