オイシックスが手がける、ひとり親世帯への食品支援 小売もメーカーも嬉しい「WeSupport Family」の取り組みとは

2021/12/27 05:55
    湯浅 大輝 (ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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    2000世帯のひとり親を支援 「ゆくゆくは生鮮食品も届けたい」

     2021年12月15日現在、18社から商品の寄贈を受け、東京と埼玉を中心に6団体、約2000世帯に食品を届けるWeSupport Family。今のところ、食品は缶詰やレトルト食品など、常温で日持ちするものに限定しているが、生鮮食品の購入をサポートする仕組みを構想中だ。

    「海外で、同様の事業を行う団体のスキームも参考にしたが、寄贈される食品の栄養バランスに偏りがあり、肥満や生活習慣病など別の問題も発生していることを知った。栄養面を考えても、生鮮食品を送るのがベストだと考えている」(同)

     オイシックスではさらに、WeSupport に協賛するスーパーマーケットやECサイトが、ひとり親世帯向けに割引クーポンを発行する、というスキームも考えている。ローソンも「要冷商品の寄贈実現に期待する」とコメントを寄せており、期待値は高まっている。12月に始めたばかりの同事業だが、既に協賛企業からは福祉協議会を紹介されるなど、企業側の関心も非常に高い。

     「(寄贈商品は)常温で日常的に食べることができ、栄養バランスも良いものと制限があるので、ぜひ様々なメーカー様とお話をさせていただきたい」(同)

    支援活動は「継続性」がKPI 認知広めることで支援受けやすく

     WeSupport Familyの今後について、大熊氏は「純粋なビジネスではないので、主要なKPIはない。あるとすれば継続性。この問題を解決するためには、一度食品を配ったら終わりではなく、受け取る方々が貧困から抜け出すことができるまで支援を続けることが大切」だと話す。

     同事業の広報活動にも力を入れていく予定だ。「ひとり親世帯の方々にお話を伺うと、食品支援そのものの存在を知らなかったり、『自分たちが無料で受け取っていいのだろうか、もっと困っている人がいるのではないか』と心理的な壁をつくったりしている方々もいる。私たちの活動が広がることで、世間の認知も高まり、支援を受けやすくなれば」(同)

     「食に関する社会課題を、ビジネスの手法で解決する」を企業理念に掲げるオイシックス。「サステナブルリテール(持続可能型小売業)」を目指し、ふぞろい品の積極活用、家庭での食品廃棄が削減できるミールキット販売などを通してフードロスゼロに取り組んできた。

     WeSupport Familyは、食品メーカーから大量の寄贈を受けることで、フードロスに加えて、「ひとり親世帯の貧困」という社会課題の解決を目指す。複数の企業や地域のNPOなどのステークホルダーを巻き込みながら、民間企業ならではのスピード感で、ひとり親世帯の食卓を支える。今後、取り組みに賛同する各地のスーパーマーケットとの連携や協力も積極的に進めていきたい考えだ。

     

    ■WeSupport Family「サポート企業」一覧
    (2021年12月15日現在、18社のうち公表可能な企業のみ掲載)
    <食品企業>
    井筒まい泉株式会社、有限会社エコライス新潟、エスビー食品株式会社、株式会社エムエスディ、カルビー株式会社、株式会社コイル、ダノンジャパン株式会社、ネスレ日本株式会社、株式会社はくばく、ハルナプロデュース株式会社、ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社、株式会社米匠庵、マース ジャパン リミテッド、森永製菓株式会社、株式会社龍角散
    <小売企業>
    株式会社ローソン

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    記事執筆者

    湯浅 大輝 / ダイヤモンド・チェーンストア 記者

    1996年生まれ。シンガポール出身。同志社大学グローバル・コミュニケーション学部卒業後、経済メディアで記者職に就く。フリーライターを経て、2021年12月ダイヤモンド・リテイルメディアに入社。大学在学中に1年間のアメリカ・アリゾナ州立大学への留学を経験。好きな総菜はローストビーフ、趣味は練馬区を散歩すること。

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