三菱食品のマーケティング提案

2015/07/14 00:00
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 三菱食品(東京都/井上彪社長)は、7月7日から7月10日まで「三菱食品ダイヤモンドフェア2015」を開催した(@東京流通センター)。

 

 中でも目を見張ったのは、入り口すぐの場所に大々的に掲示したプレゼンテーションである。

 

 同社は、小売業は、《食材販売の時代》から、《ミールソリューションの時代》を経て、《トータルライフソリューションの時代》に突入したと位置づけた。

 

 《トータルライフソリューションの時代》には、生活全般の課題解決と社会インフラ化が求められる。

 

 たとえば、クルマ、引っ越し、保険、旅行、保育園など…ライフステージすべてにおける情報とサービスの提供(多面的機能提供)。また、介護用品・介護食の宅配など…行政サービス・医療との融合(マイナンバーの活用による行政サービスの代行)。そして、「作るより買う時代・届ける時代へ」という流れを受け、デリカ売場の充実と宅配網の形成。さらには、リアル・バーチャル両面での訴求ということで、ショールーミングやオムニチャネルなどへの対応が必要になるとしている。

 

 《トータルライフソリューションの時代》を迎え、生活者の意識は大きく変化している。

 ① 安全安心意識の向上

 ② 節約志向の一般化

 ③ 健康志向の高まり

 ④ 日本文化を見直す動き

 ⑤ 老後不安の増加

 ⑥ 脱物質主義

 ⑦ ダイバーシティ意識の浸透

 と言った具合だ。

 

 その中で小売業のターゲットも変化せざるをえず、

 ① 高齢人口の拡大と体力低下

 ② 女性の多忙化(仕事・育児・家事・介護)

 ③ 低所得層拡大

 ④ 単身世帯増加

 ⑤ 3世代消費

 ⑥ 男性の家内活動

 ⑦ 主婦の調理時間・技術の低下

 ⑧ 外国人観光客の増加

 のマーケットにいかにアプローチするかがポイントになる。

 

 そして、購買スタイルも、

 ① ネット市場の拡大

 ② 部品調達ニーズ

 ③ ショートタイムショッピング

 ④ 宅配市場の拡大

 ⑤ 業態の使い分け(利便性重視と価格重視)

 などなど、大きく変化しているので、これらへの対応も必至となる。

 

 《トータルライフソリューションの時代》を迎える中で、同社は生活者の定量分析と定性分析を実施、生活者を6つの生活者グループに分類した。

 

 具体的には、

 

【エンジョイシニア】

 購買部門:ギフト、総菜

 好み:こだわり、健康

 食の傾向:金銭的・時間的余裕から食事作りを簡便化して自由時間をつくる

 

【伝統的シニア】

 購買部門:調味料、健康食品

 好み:大容量、こだわり

 食の傾向:時間的余裕から食事づくりを豊かにしたい

 

【有職簡便主婦】

 購買部門:加工商品、日配品、総菜
 好み:定番、簡便
 食の傾向:時間がない中での買い物、簡便に食事作りを実施。失敗しない食事作りが肝

 

【手作り風有職主婦】
 購買部門:インスタント、冷食

 好み:小容量、簡便

 食の傾向:仕事をセーブしながらも、手作り感を重視した食事作りを実現、冷食大活躍

 

【エンジョイ専業主婦】

 購買部門:総菜、酒

 好み:大容量、低価格、PB

 食の傾向:節約しながら、簡便化する機会をうかがいつつ、食事作り

 

【節約専業主婦】

 購買部門:保存食品、健康食品

 好み:PB、安全安心

 食の傾向:調理技術はまだ低いが子供・家族への食提供を節約しながら実現

 

 そのうえで5つのキーワード、①安全・安心、②簡便、③節約、④健康・美容、⑤MYロイヤルを提唱している。

 

 過去には、小売業界にはマーケティングが不在であるとずいぶん揶揄されたものだが、三菱食品のこういう新しい提案を見ていると、時代の変わり目をひしひしと感じる。
 

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