三島由紀夫が花を咥えて… 京都で増えるデザイナーズホテルで楽しむ食事とは
料理を食べ、思わずブォーノ!と叫ぶ
5月某日──。私はnode hotelの前にいた。知人同士で、1階にあるイタリアンダイニング「node」において会食をするためだ。地元なので宿泊せず、この個性派ホテルでスタイリッシュな夜を過ごしたいと考えた。
建物に足を踏み入れると、そこは異空間だった。外から眺めていたのとは、全然違う、洗練された空間が広がっている。照明の配置も計算されているのだろう、人が立っているだけでも絵のように感じた。
コンクリートの打ちっぱなしの壁には、数々の作品が掛かっている。いずれも有名アーティストによるもので、三島由紀夫が花を咥え、鋭い視線をこちらに向けているモノクロ写真、またレディー・ガガが縛られているものもある。後者は、アラーキーこと、荒木経惟によるものだ。
早速、食事である。われわれが注文したのは、5種類の料理が出てくる4800円のコースである。利用しやすい価格設定に好感が持てた。
最初は前菜3種盛り。京都の野菜を使ったオムレツ、自家製のポークハム、低温調理した水菜、キノコのあえ物。まずはオムレツからいただく。ブォーノ!あえ物は、イタリア料理なのに山椒の風味がきいているのが斬新だ。
続いて本日の一品として出てきたのは「エビのマスカルポーネ」。
店内は、テーブルの上に美術書が飾られているほか、調度品にもこだわっており、その場にいるだけで特別な気分になれた。店内はほぼ満席で、どのテーブルからも笑顔がこぼれている。
その後、本日のパスタとして「しらすとノリのアリオリオ」、そしてメインの肉料理が出てきた。もちろん、どれもおいしさ満点。最後に、フルーツの盛り合わせ、コーヒーをいただき、ごちそうさまをする。
こういう夜もいいものだ。気の置けない仲間と集まり、洗練された空間で食を楽しむのも、豊かな時間だった。
ホテルゾーンへは行けなかったが、Webサイトで確認したところによると、25ある部屋はどれも素敵である。食事中、上階へ通じるエレベーターに乗り込む宿泊客を数組目にした。お酒が入っていたからそう思うのかもしれないが、皆さん、なんだかいい感じだったな。
もうお腹がいっぱいである。幸せな気分に包まれ、私たちは建物を出た。