「余生」を「誉生」に変えて生きよう
今年78歳にして『悪道』で第45回吉川英治文学賞を受賞した作家の森村誠一さんは、「人生60年時代には第1期(=仕込み)、第2期(=現役)しかなかった」と話していた。
「55歳あたりで定年を迎え、5年くらいで死んでいく。そこには、何もしない残された数年があるにすぎなかった」。
ところが人生80年時代となると第3期として「余生」という期間が出てくると言う。
「退社して企業人としての生活を終えてからも、まだ20年間も生活が残っている。にもかかわらず、人生60年の時代と同じ生き方をしている人たちが少なくない」。
「60歳を過ぎてから、放漫に漫然と過ごす人が多い」と森村さんは残念がっている。
その打開のキーワードは、誉高く生きるという意味での「余生」ならぬ「誉生」だ。
そして「『余生』を『誉生』にするために準備をぬかりなくすべきである」と森村さんは、リタイア前の人々に呼び掛けている。
森村さんは、他人に「誉生」を送ることを提案するだけでなく、自分にも目標を課し、現在380弱あると言われる執筆作品に、「残りの人生であと50作品を加えたい」と意気込みを語っている。