イオンマーケティング本格始動する

2010/11/15 07:38
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 イオンマーケティング(千葉県/小賀雅彦社長)がいよいよ本格始動だ。

 この10月27日からは「かざすクーポン」サービスを首都圏のGMS(総合スーパー)47店舗で開始した。

 「おサイフケータイ」をレジの専用端末機にかざすだけで割引クーポンなどを利用する事ができるというものだ。

 メールアドレス、性別、生年月日、住居のエリア、良く利用するイオン(千葉県/岡田元也社長)グループの店舗名、を送信するだけで会員登録は完了。もちろん登録料は無料で属性や購買履歴などに応じて、クーポンが自動的に送られる。

 

 イオンマーケティングは2009年7月にイオン51%、NTTドコモ29%、イオンクレジットサービス20%の出資で設立されたものの、その後の活動がほとんど公開されていなかった。

 

 現在、同社の事業は、①ケータイを活用した新たな販促媒体の提案と会員ビジネスを構築する「モバイル事業」、②顧客POSデータ分析の「マーケティング事業」、③既存のグループクラブ会員の再構築、提案する「クラブサポート事業」(ダイレクトメールなどの販促を代行)の3つから構成される。

 

 いまのところイオンは、機能会社、コストセンターと位置付けているが、イオンマーケティングの潜在性は大いに注目される。

 

 そのひとつめは、試売分析ができる点だ。イオングループの1日のレジ精算客数は800万人規模と想像できる。それだけ客数が多いということは、新商品のテストを1日だけ実施すれば、その商品の売れ行きはほぼ予測することができるということだ。エリアでの1日限定試売などでも、その傾向は一目瞭然だろう。

 

 2つには、分析したPOSデータの販売である。すでにいくつかの企業では、POSの生データを販売し、サプライヤーからの提案を受けて成功している。これに対して、イオンマーケティングの場合は、同社が分析したものをサプライヤーに販売するという。これもサプライヤーにとっては垂涎もののデータであり、こぞって購入の手を挙げるものと予想できる。

 

 3つには、「ワン トゥ ワン マーケティング」に対するサプライヤーの興味である。同社は、1年後に300万人、3年後に1000万人の会員獲得を目指しており、この数の会員に直接アプローチできることは、サプライヤーの販売促進にとっては無視できない存在と言える。折から、新聞を取らない世代が増える中で、「24時間30㎝内」にあるケータイを活用した販促に対する期待は大きい。

 

 この3つだけですら、サプライヤーにとっては、驚異の事態といえる。

 これまで湯水のように使ってきた費用対効果の分からない広告宣伝費や不特定多数向けの販売促進費をつぎ込むべき、新しい有力な対象になりそうだからだ。

 

 (『チェーンストアエイジ』誌2011年1月15日号では、小賀雅彦イオンマーケティング社長のインタビューを掲載します)

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