3月ロイター企業調査:新型肺炎、5割弱で2月事業に影響 3月以降本格化との見方も

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都内を歩く人
3月ロイター企業調査によると、およそ5割が新型コロナウィルス感染拡大が2月の事業に影響したと回答した。都内で17日撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)

[東京 18日 ロイター] – 3月ロイター企業調査によると、およそ5割が新型コロナウィルス感染拡大が2月の事業に影響したと回答した。事業への影響が終息する時期は数カ月先との回答が4割を超え、終息めどが立たないとの回答も2割超となった。感染自体が終息しても事業立て直しには時間を要するとの見方が6─7割を占めている。

影響を少しでも長期化させないために政府に対して求める施策について大企業からは、経済対策や資金繰り支援などよりも医療体制や感染予防策の強化を求める声が最も多く、6割を占めた。

調査は3月2日から12日までの期間に実施、調査票発送企業は502社、回答社数は230社程度だった。

事業への影響はこれから本格化

2月中の事業への影響について、生産・売り上げが前年に比べて1─3割程度減少したとの回答は全体の42%、3割以上との回答は5%で、合わせて47%の企業で減少の影響が出ている。

中国工場で人員確保ができず「稼働が5割程度」(電機)、「取引先の自動車関連工場操業停止により受注が減少」(鉄鋼)といった声や、「ホテル稼働率の低下」(不動産)、「集客イベントの中止」(建設)、「コンテナ貨物量減少による施設使用料収入のの減少」(運輸)などがあった。

もっとも、現時点では7割程度の企業で調達品、供給品ともに「不足は1割程度」にとどまっており、大幅な不足には至っていない。

ただ「原材料や部材は在庫があり、売り上げに影響が出始めるのはこれから」(卸売)、「2月は動きが少なかったが、3月に入ってから影響が出ている」(サービス)といった声も目立ち、時間の経過とともに影響は広がってくるとみられる。「影響が出てくるのはもう少し先ではないかと思う」(機械)といった企業も目立つ。

サプライチェーンの見直しを行った企業は8%、見直し検討中が39%に上った。「ベトナム、タイなどへの生産移管」(金属製品)が実施できた企業もあるが、「見直しは大きなコストアップが懸念材料」(その他製造)、「中国以外で代替の利かないものがかなりあることが判明」(食品)といった声も目立つ。

感染終息でも 事業回復は長期化の見方

こうした見方を反映して、事業への影響が終息する時期について、「数カ月先」との回答が43%で最も多かった。「終息めどが立たない」との回答も22%を占めている。

「中国では(新型ウイルスの感染が)近々終息に向かうかもしれないが、すでに2次感染、3次感染が世界規模で拡大している」(金属製品)、また「有効な治療薬が確立しない中、終息のめどが立たない」(ゴム)など、感染拡大自体の終息に時間がかかるといった理由が挙げられている。

一方で、感染拡大が終息に向かっても、「今後数カ月、サプライヤーに影響が出る可能性がある」(輸送用機器)などこれから影響が出てくる、あるいは調達先の事業立て直しが難しい場合など「経済活動への影響は残る」(精密機器)とみている企業、「サプライチェーンがつながっても、需要停滞は長引くと想定」(輸送用機器)と消費の回復に時間がかかるなどの声もある。

こうした状況から、企業がこの先、政府に最も望んでいる対応策についても聞いた。

安倍政権はすでに緊急対策第2弾までをとりまとめ、感染防止対策や所得補償、中小企業の資金繰り支援を打ち出し、今後の景気対策にも意欲を示している。しかし企業からは「経済対策」を望むとの回答は18%にとどまり、「医療体制や感染防止策強化」を求める声が59%と過半数を占めた。

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