一気に進んだ欧州小売のECシフト総まとめ アルディ、リドルも動く!

松岡 由希子 (フリーランスライター)
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仏カルフールは「BOPIS」に注力

ウーバーイーツと提携したカルフール
フランスなど3カ国でウーバーイーツと提携したカルフール

 フランス小売業最大手カルフール(Carrefour)は、中期経営計画「カルフール2022」で22年度までにEC売上高を42億ユーロ(約5880億円)に拡大させることを目標に掲げ、ECと店舗を融合させたオムニチャネル化をすすめてきた。コロナ禍では本国フランスを中心に食品ECの需要が拡大し、20年度上半期のEC売上高は対前年同期比70%増の11億ユーロ(約1540億円)に達している。

 カルフールでは、店舗を持つ強みを生かすべくBOPISを強化している。オンラインで注文した商品を店舗の駐車場で受け取る「カルフール・ドライブ(CarrefourDrive)」のほか、パリ、リヨンなどの大都市ではオンラインで注文した商品を都市型小型店で受け取る「ペデストリアン・ドライブ(Pedestrian Drive)」を展開。「ペデストリアン・ドライブ」は、オンラインで注文した商品の受け取り場所として都市型小型店を活用することで、品揃え豊富な郊外型大型店を都市部でも間接的に利用できる仕掛けとなっている。

 カルフールでは、フードデリバリーサービスとの提携により、生活必需品のオンデマンド型配送サービスにも対応している。20年4月以降、フランス、ベルギー、台湾で「ウーバーイーツ(Uber Eats)」を活用したオンデマンド型配送サービスを導入。ウーバーイーツのモバイルアプリから現在地周辺のカルフールの店舗を検索し、食料品や日用品などの生活必需品を注文すると30分以内に商品が届く。ポーランドではグロボ(Glovo)、台湾ではフードパンダ(Foodpanda)と提携し、同様のサービスを展開している。

 カルフールは、ECサイトの品揃えの拡充にも取り組んでいる。ECサイトでは、18年から傘下におさめるミールキット宅配サービスのキトク(Quitoque)を運営するほか、20年6月には、オンラインマーケットプレイスを開設。スパイス専門店、ショコラティエなど、地場メーカーや専門ブランドが手がける高品質な食料品や日用品を、自社のECサイトを通じて幅広く提供するのがねらいだ。20年末までに最大10万点の商品を取り扱うとしている。

アルディ、リドルは外部サービスと提携

 本国ドイツのみならず、英国やフランスでも市場シェアを伸ばすハードディスカウントストア(HDS)のアルディ(Aldi)やリドル(Lidl)は、店舗を主たる販売チャネルと位置づけながら、買物代行サービスやフードデリバリーサービスとの提携により、生活必需品のオンデマンド型配送サービスに対応している。

 アルディは、米国でインスタカート( I n s t a c a r t )、英国でデリバルー(Deliveroo)と提携する一方、リドルは、米国でシプト(Shipt)、スペインでロラマーケット(Lola Market)、アイルランドでバイミー(Buymie)と提携している。

 このように、欧州の大手SMの動きを見ると、コロナ禍でのEC需要増に対応し、商品供給体制や配送網の拡充をすすめながら、BOPISやオンデマンド型配送サービスなど、消費者の多様なニーズに積極的に応えようとする姿勢が窺える。

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記事執筆者

松岡 由希子 / フリーランスライター

米国MBA 取得後、スタートアップの支援や経営戦略の立案などの実務経験を経て、2008年、ジャーナリストに転身。食を取り巻く技術革新や次世代ビジネスの動向をグローバルな視点で追う。

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