標準化・PC 化で多店舗化実現する生鮮ドラッグ ゲンキーの強さを新店から徹底分析!
東海・北陸地方にドラッグストア(DgS)を展開するGenkyDrugStores(福井県/藤永賢一社長:以下、ゲンキー)。自社プロセスセンター(PC)を活用しながら、生鮮を直営かつフルラインで展開するフード&ドラッグ型店舗を拡大している。最新店の1つである「ゲンキー涌波(わくなみ)店」(石川県金沢市:以下、涌波店)の売場を調査し、ゲンキーの店舗の強さをあらためて分析してみた。
調査日:2024年1月21~22日、文中の価格はすべて本体価格
EDLPと収益性を両立する「レギュラー店」
今回調査した涌波店は2023年12月21日にオープンしたゲンキーの最新店の1つで、金沢市南東部の住宅街に位置する。同社は17年から、売場面積1000㎡の小商圏型フード&ドラッグフォーマット「レギュラー店(R店)」をメーンに出店および既存店改装を進めている。23年7月時点で全409店舗中、約86%の352店舗がR店となっており、涌波店もこれに分類される。
同店の売場を見ていく前に、ゲンキーが公表している決算資料をもとに、R店の出店効果を分析しておきたい。R店導入期にあたる17年6月期と、23年6月期の通期実績を比較してみると、売上高は約2倍の1690億円、営業利益は約1.7倍の67億円と大幅な増収増益を達成。また売上高販売管理費率は18.7%から16.5%へと2.2ポイント(pt)減少しオペレーションのローコスト化が顕著だ。
一方、ここ数年でEDLP(エブリデー・ロープライス)を強化したことで売上高総利益率は23.3%から20.4%へと2.9pt減少。しかし損益分岐点比率は80.2%から80.7%とほぼ横ばいで推移しており、つまり「ディスカウント化」が進んでも「ローコスト化」がそれを補うかたちで、経営の安全度は安定傾向にある。
※損益分岐点比率(%)=損益分岐点売上高÷売上高実績×100、損益分岐点売上高=販売管理費÷売上総利益率で算出。17年6月期実績は新収益認識基準適用前の数値
ローコスト運営を支える「4つのポイント」
では、ゲンキーはいかにして運営のローコスト化を実現したのか。