フード&ドラッグの先駆、カワチ薬品が生鮮食品を本格導入した狙いとできばえ徹底解説!
ドラッグストア(DgS)商材に加え、豊富な品揃えの食品を扱う400坪以上の大型店を主力フォーマットとするカワチ薬品(栃木県/河内伸二社長)。昨今勢力を拡大するフード&ドラッグ業態のパイオニア的存在として知られる同社だが、足元では改装を機に生鮮・総菜をフルラインで展開する店舗を出店し、生鮮強化に本腰を入れ始めている。カワチ薬品の生鮮MD(商品政策)の最前線を調査した。※価格はすべて本体価格
足元の業績は低迷 生鮮に活路見出す?
カワチ薬品は栃木県小山市を本拠に、東北地方から中部地方にかけて約350店舗を展開するDgS企業である。2022年3月期の連結売上高は2794億円で、業界10位の規模を誇る(本誌22年9月15日号「日本の小売業1000社ランキング2022」より)。
ただ、足元の業績はおぼつかない。売上高は前期(21年3月期)から1.8%減、営業利益は同27.0%減の77億円で減収・営業減益となっている。コロナ禍での巣ごもり需要の反動減が大きく作用したほか、新規出店に伴う販売管理費の負担増が重くのしかかった。
関東圏の小売関係者であればご存じの方も多いと思うが、カワチ薬品はフード&ドラッグ業態のパイオニア的存在である。企業サイト上に掲載されている沿革によれば、1992年に「田尻店」(茨城県日立市)を増床し、売場面積約400坪の大型店を開設。その後400坪以上の店舗を「メガ・ドラッグストア」として主力フォーマットに位置づけ、1000坪クラスの超大型店を含め出店を進めていった。
その広大な売場では、医薬品や日用品といったDgS商材のほか、日用雑貨、衣料品、そして加工食品や日配品を中心とした食品、飲料など幅広いカテゴリーを展開。今日のフード&ドラッグ業態の教科書的な商品構成の店舗を、90年代前半にはつくり上げていたのである。
しかし、コロナ特需の反動、そして各エリアでの競争激化に伴う業績の低迷に直面する今、カワチ薬品がなんとか活路を見出そうとしているようなのが、生鮮の導入だ。
カワチ薬品の“生鮮戦略”の実証実験の場になっているとみられるのが、千葉県八街(やちまた)市にある「カワチ薬品八街店」(以下、八街店)だ。22年9月に大規模改装を行い、生鮮(青果、精肉、鮮魚)と総菜の4部門を展開する生鮮フルライン型店舗として生まれ変わった。
位置するのは、JR総武本線「八街」駅から南西へ1.5㎞ほど離れた県道沿い。周辺は典型的なロードサイド型の商業集積となっており、八街店のすぐ隣には「スーパーセンタートライアル八街店」、同じ県道沿いのわずか150m先には「ディスカウントドラッグコスモス八街店」、南へ約300m離れて「カスミ八街店」、北東約450mに「ヤックスドラッグ八街中央店」などがある。
集客部門は精肉、鮮魚は品質に課題も
生鮮部門を中心に売場を見ていこう。