ホーム   特集&連載    DRMオンライン・オリジナル    グローバル経営・財務講座 
記事タイトルバナー
2017年10月6日

第1回
グローバル人材に求められる広い視野

 商品調達や店舗展開のグローバル化が進むなか、流通企業に新たなリスク対応力が必要とされている。北朝鮮情勢や米国大統領の動向から眼を離せない今、マネジメント層は、国内だけでなく世界情勢にも目配りし、為替レートや株式市場、経済危機そして消費動向を先読みする能力が求められるようになっている。

 

 一方、日本の小売業にとって、海外向けの事業は一般的に収益化が難しく、難易度が高い。この原因の1つに、グローバルで活躍できる「グローバル人材」の育てにくさがある。では、どうすれば日本人はグローバル人材に近づけるのだろうか。

 

 筆者はイギリス企業の日本拠点に勤務し、アメリカと中国の大学にも所属した。東南アジアの企業と働き、サウジアラビアを訪問した経験もある。グローバルで仕事をしていくにあたっては、言葉や習慣の壁があるうえ、求められる競争力は高い。

 

 グローバル人材とは、世界水準で仕事ができる魅力ある人材を意味する。国内市場でのシェア拡大に加え、海外進出によって成長を模索する小売業が増えていくだろう。また、競争力のある商品を開発するためには、海外での原材料調達は避けられない。海外企業とのビジネスが増えていけば、従業員や経営層は世界水準で仕事をすることが要求される。

 

 グローバル人材になるには、広い視野が必要だ。グローバルで活躍するうえで、注意すべき点は3つある。

 

 1つめは政策動向だ。トランプ氏がアメリカ大統領に就任してから、世界中の企業は対応に苦慮している。国内外の政策が自社のビジネスにどのように影響をもたらすか、対応を考えなければならないからだ。

 

 2つめは為替や株式市場などのマーケットである。小売業の経営者は驚くほど、これらのマーケットへの意識が低い。株主総会で議決権を行使する機関投資家のロジックや、為替動向が意味する世界経済危機の兆候、株式市場を活用した競争力強化方法など、経営のマネジメント層はもっとマーケットを理解すべきだ。

 

 3つめは消費動向と経済動向だ。この点については、小売業幹部の肌感覚が優れているため、心配はいらないだろう。

 

 このように、マネジメント層は広い視野を持ち、自社と自身の現状と未来を考え、対策を準備する必要がある。ふだんからグローバルの政治経済に敏感になってほしい。

 

 日本の小売業が世界規模で持続的成長をめざすには、グローバル人材の育成がカギとなる。多くの若者が、じっくりと人間的魅力を養い、グローバルで活躍するリーダーになることを願っている。本連載では、企業の財務活動に大きな影響をおよぼす為替レートや株式市場、経済危機、消費動向も見方などを解説していきたい。

 

【セミナー開催のお知らせ】

2017年11月17日(金)、弊社主催の「DRM流通未来予測カンファレンス キックオフセミナー」を開催いたします。渡辺林治氏が財務活動に大きな影響をおよぼす為替レートや株式相場の見方を解説。今後予想される経済危機への対策や、消費動向の分析手法もわりやすく説明します。詳細は下記URLでご確認ください。

http://diamond-rm.net/articles/-/16855

 

【著者プロフィール】

株式会社リンジ―マネジメント
代表取締役社長 渡辺林治

宮城県出身。慶應義塾大学経済学部卒。MBA(UCLAアンダーソン)、小売企業の持続的成長の仕組みを統計分析で解明し、慶應義塾大学から博士号を授与。野村総合研究所とシュローダー投信投資顧問を経て、2009年にリンジーアドバイス株式会社を設立。機関投資家の立場で27年にわたり、国際金融予測、企業評価、戦略助言を継続。東日本大震災、2020年のオリンピック東京開催決定、アベノミクス、トランプ氏大統領当選など経済変動の転換点において、その後の景気・為替・株式の動きを予測。現在、上場企業トップ、財務・企画責任者を主な対象に、経営財務の助言と投資顧問を行う。アスクル、自重堂、カワチ薬品など上場企業で社外役員も現任。数々の経済変動を予測し、企業の維持発展に寄り添っている。

【おもな著書】

『 小売企業の成長と内外部接合要因 百貨店と食品スーパーの実証研究を中心に』
(慶應義塾大学)
『 流通企業の繁栄と戦略 環境変化・百貨店・スーパー』(千倉書房)
『 DIAMOND流通選書 この指標がわからなければ幹部になってはいけません』
(ダイヤモンド社)

 

連載バックナンバー

バックナンバー 一覧

Special topics