リアル店舗ならではのデジタル活用

2020/03/15 08:56
ダイヤモンド・リテイルメディア 流通マーケティング局

株式会社グッデイ 代表取締役社長 柳瀬隆志氏

経営者が自ら学び、実行したデジタルシフト

IT導入ゼロの会社を変えた原動力

 入社した2008年当時、社内にメールが普及しておらずホームページもない状態だった。インターネット活用にも消極的で、システム部は「今までと同じで大丈夫」という感覚。組織の問題とデジタル化の問題という、大きな2つの問題が現場に横たわっていた。一方で、外部からITへの投資を提案されることもあったが、実行すればなぜ売上が上がるのかという明確な理由付けがなく、足踏みせざるを得なかった。

 結果的に私がとったのは、経営者自らが今ある技術を理解し、自社のニーズに当てはめるという方法だった。経済産業省のDX推進指標においても、経営者のコミットメントが必要不可欠と明示されている。DX には経営者自らが経営の重要課題として捉えることが大事なのだ。

 まず、セルフビジネス型BIツール「Tableau」を導入。現場の入力インターフェイスはそのままに、クラウド上にデータベースを構築した。さらにGoogle Cloudのビジネスツールである「G Suite」を導入しチャットでコミュニケーションを行えるようにした。

 また、自らさまざまなITカンファレンスに参加し最新の技術に触れながら、自分でコードを書き、クラウド上にWebサーバーを立てる作業を行ってみるなど、実際に手を動かして理解を深めた。社長自らエンジニアと円滑にコミュニケーションができるようになったことは、グッデイのDXにおける原動力となった。

 社員に対しても毎週IT知識を学ぶ勉強会を行い、各部署にひとりずつITに興味がある若手を配置した。IT人材の育成・採用に注力した結果、社内のITリテラシーは格段に向上した。

成長市場でないからこそDXは必須

 小売業では、天気・棚割りなど分析すべきことは多い。一方、扱うデータは大きく分けて「仕入れ」「在庫」「売上」とシンプルだ。それらのデータをさまざまに組み合わせて判断に落とし、行動を決めていく。分析をすることではなく、分析をもとに何をやるのかが大事なのだ。

 グッデイでは、気温データを入れると各カテゴリーの売上予測ができるシステムを構築。バイヤーの経験と勘に頼っていた仕入れが数値化された。このように、人間が感覚でやっていた部分を見える化できることがデジタル化の醍醐味だと考えている。

 とはいえ、IT化には費用がかかる。どのソリューションを使えば自社の悩みを費用対効果良く解決できるのかを見極めた上で、IT投資を行うことが必要だ。

 昨年10月より、グッデイはキャッシュレス還元事業の対象店舗となっているが、キャッシュレス決済の利用状況分析にもデジタル化が役立った。決済データをすべてクラウド上のDWHに集めてTableauで分析し、各店舗のキャッシュレス決済率を把握。キャッシュレス相談窓口を開設し、高齢者への丁寧な説明を行いその内容をGoogle Hangoutの業務日誌で共有した。結果、5〜6%の売上アップに繋がった。

 さらに、高額商品の決済にキャッシュレスをお勧めするなど、店頭での成功体験が日々共有されたことで、現場のモチベーションアップにも繋がった。

 グッデイでは、今年を「デジタル広告元年」と位置づけ、販促にもデジタル化を進めている。とくに顧客属性をアカウントに紐付けて知ることができ、新聞発行部数の2倍が利用するLINEの活用には積極的だ。

 アンケートの回答率も良く、結果を店頭のデータと紐付けてメーカーのマーケティング支援にも活用する予定である。

 小売業は成長市場ではないからこそ、効率が求められる。少ない投資で高い効果を得られるDXは、今後ますます必須となっていくだろう。

各プログラムの詳細

下記画像リンクから、各プログラムの詳細をご覧いただけます。

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