進化する三越伊勢丹のレヴ ワールズ、「メタバースショッピング」は実現するか

兵藤 雄之
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三越伊勢丹が描く「オムニバース」

 21年3月にレヴ ワールズのβ版アプリがリリースされて1年余り。ユーザーの行動にも特徴が現れてきている。

 たとえば、百貨店の強みである「デパ地下」や「ギフト」への関心の高さはレヴ ワールズ内でも明確に出ているという。「三越伊勢丹限定パッケージの『東京国立博物館・国立近代美術館』のギフトアイテムや、ギフトショップの『ムードマーク バイ イセタン』などで、商品閲覧数やWEBサイトクリック数が高くなっている」(三越伊勢丹の担当者)。

 「ムードマーク バイ イセタン」は、相手の住所を知らなくても贈り物を届けることが可能なソーシャルギフトに対応しており、バーチャルショップを回遊しながらギフトアイテムに出会う“リアル店舗のような体験”と合わせた体験価値がユーザーに好まれているのではないか、と同社では見ている。

 また、アプリ内で出会った人たちと「かくれんぼ」など、独自の遊び方をしているユーザーがいたり、夫婦でレヴ ワールズ内でのデートを楽しんだり、親子で遊んでいるといった声もあるという。

 同社では当初から、レヴ ワールズを、仮想空間内でのメタバース事業というよりも、リアルとオンライン、それぞれの世界を行ったり来たりする“オムニ”バース事業として位置付けている。現状、リアルとバーチャルの組み合わせによるユーザー行動についてはどうか。

 「常設ではないが、リアル店舗に実在する販売員が、顔なじみのお客さまと事前に日時を決めたうえで、アバターとなってバーチャル上でお迎えし、チャット機能やボイス機能を活用して接客するといったケースも出てきている。なかには、リアル店舗と同様、紹介商品の購入につながったこともある」(同)

「伊勢丹新宿店」本館6階で開催されたデザイン画の展示の様子(3月22日で終了)

バーチャルショップで20万円の服が売れる事例も!

 他社の事例になるが、レヴ ワールズ並みの精度を再現した3DCGバーチャルショップをインターネット内にオープンした、あるビンテージ古着を扱う店舗では、開設から1カ月もしないうちに、買物客自身による店内回遊と、店主によるオンライン接客により、1着20万円近いコートが売れたという(オンライン接客時に顧客の顔を見ているが、最後まで、直接会う機会はなかった)。ちなみに同店は実店舗をもっておらず、店の存在を知ることができるのはインターネット内だけだ。

 その店主によれば「これまでのECは商品画像を見せるだけだったが、バーチャルショップでは、より詳細に商品を見せることができる。そのうえで、商品についてのストーリーを交えながらオンライン接客ができれば、リモートでもモノは売れる」と。

 レヴ ワールズ内でも、今後、こうした動きが出てくるのだろうか。そうなれば従来のECとは異なる、新しいオンラインストアとして注目を集めるにちがいない。

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