グローサラント併設大型店、トリエ京王調布店の売場調査でわかった成城石井の強さの秘密

矢野清嗣
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成城石井大

2017年9月、成城石井は東京都調布市に、食品スーパー(SM)と飲食を融合させた「グローサラント」型店舗「成城石井トリエ京王調布店」(以下、トリエ京王調布店)をオープンした。同社でも大型の店舗で、生鮮3品を含めて総合的に食提案を行う売場を展開。直営での飲食の提供にも挑戦し、業界の注目を集めた。開業から3年を経た同店の今を調査した。
(調査日:2020年 12月1・11・21日)※文中・図表中の価格はすべて税込価格

生鮮素材を使った簡便・即食商品が充実

 トリエ京王調布店は、京王線・京王相模原線「調布」駅直結のショッピングセンター(SC)「トリエ京王調布」のA館1階に入る。至近の競合店には、北西約200mに「北野エース調布パルコ店」、同約250mに「西友調布店」などがある。

 同店の売場面積は198.8坪と成城石井のなかでも大型で、生鮮3部門を含めたフルラインアップの店舗だ。そのうち18.1坪では直営の飲食スペース「SEIJO ISHIISTYLE DELI&CAFE」を展開する。

成城石井トリエ京王調布店
成城石井トリエ京王調布店(写真はオープン当時のもの)

 売場レイアウトは、中央主通路で大きく2つに分けられる(売場レイアウト参照)。東口から入って左手(南側)に「生鮮」「総菜」「日配」「調味料」と飲食スペースを、右手(北側)に「加工食品」「菓子」「飲料」「酒類」「冷凍食品」のほかレジを配置する。中央主通路は、駅前広場と東口を結ぶ連絡通路の役目を果たしていることもあり、常に人どおりが絶えない。

成城石井トリエ京王調布店の売場レイアウト

 カテゴリー別売場構成比は、「生鮮」19%、「日配」23%、「総菜」10%と、購買頻度の高いカテゴリーで計約52%。そのほか、「加工食品」が26%、「酒類」と「菓子」がともに11%となっている。「酒類」「菓子」の割合が高いのが特徴だが通常のSMと基本的に同じである。

 売場を見ると、開店時からは大きくは変わっていない。調査に訪れたときは平日にもかかわらず、レジ7台がせわしく稼働する盛況ぶりだ。

 好調の要因を売場づくりから分析していこう。全体的な印象としては、各売場のテーマが明確で、オリジナル商品を絡めた売場づくりが巧みである。重点商品の売り込みもしっかりとなされ、まるで商品が迫ってくるかのような売場だ。

 まず青果売場は約15坪で、冷蔵ケース約40尺と平台で展開する。調査時の価格は「トマト2個L」(599円)、「キャベツ1玉」(299円)など、一般的なSMと比較すると高めであるが、品質重視で産地にもこだわる。

 鮮魚売場は、売場から見える位置に加工場を設けて鮮度感を打ち出す。丸物は見られず、「刺身」「切り身」「粕漬」を中心に商品を構成する。売場導入部で訴求しているのが、店内加工の寿司だ。6尺ケースに「北海道産うに・いくらこぼれと本鮪4貫と5種握り10貫」(1490円)をはじめボリューム感のある商品を揃える。

成城石井トリエ京王調布店の鮮魚売場の導入部で訴求する店内加工の寿司
生鮮素材を使った簡便・即食商品が充実している。写真は鮮魚売場の導入部で訴求する店内加工の寿司。大ぶりのネタと軍艦からこぼれるほど盛られたいくらが、商品のボリューム感を演出する

 精肉売場は、対面コーナーを設置し、「サーロインステーキ用」(100g1999円)など「松阪牛」を中心に量り売りする。そのほか、黒毛和牛は「佐賀牛」「熊本産牛」などの九州産で固め、豚肉と鶏肉も銘柄肉で商品を構成する。

 鮮魚と精肉の売場中央でコーナー化しているのが、生鮮を使ったレンジアップの簡便商材だ。「北海道帆立貝柱と海老のハーブ香るアヒージョ」(699円)や「黒毛和牛のすき焼き」(799円)などそれぞれ約10品目を揃える。

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