コロナ禍で苦戦したリフォーム市場、テレワークや在宅時間の増加で生まれた「清潔」「タッチレス」の需要に期待

「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部 上明戸聡
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TOTO
〝ちょっぴりいいものを〞という需要に向けて付加価値商品の店頭提案を強化

コロナ禍による在宅時間の増加によって、快適・エコ商品の堅調な売上を記録しているTOTO。ショールームなどで実際に製品に触れる機会が制約されることの影響はあるが、家電や住宅設備へのこだわり消費、こだわり投資のトレンドを踏まえ、ウォシュレットなどの付加価値商品提案を強化している。

清潔さや非接触への関心が高まる

TOTOの「非接触」で使えるオート開閉トイレ
「非接触」で使えるオート開閉トイレの人気は根強い

 TOTOの2020年は新型コロナウイルスの影響でショールームなどでのコンサルティングが基本となるバス関連、キッチン関連の商品の実績は厳しい時期もあったが、その後持ち直し傾向にある。一方、トイレ関連商品である「ウォシュレット」は、堅調に推移している。コロナの影響によって在宅時間が増え、トイレの使用頻度も増えたことで、設備の見直しをする層が増えたことが背景と考えられる。

 とくに〝清潔さ〞や〝非接触〞というポイントへの関心が高まったことが追い風にもなった。もともとTOTOではコロナ以前から、「びっくリーン技術」と名付けたトイレ関連商品の機能訴求を強化していた。具体的には使用するたびに便器やノズルを除菌水で洗う機能や、汚れがつきにくい陶器表面の加工技術、ふちなしで掃除しやすい便器形状などだ。こうした訴求がコロナ禍の中で注目を集め、関連機能を持つ上級機種の好調につながった。

 また非接触という観点からも、便座・便蓋が自動的に開閉する機能(オート開閉機能)なども注目されるようになっている。

付加価値商品の品揃え強化を提案

 TOTOでは、これに加えて消費者の間で在宅時間の増加による消費トレンドの変化が起こっているとみている。家にいる時間が増え、家の中の耐久消費財をみ直す機会となったことで、その買い換えにお金を使うというトレンドや、せっかく買うなら〝ちょっぴりいいものを〞という志向が強まった。

 こうした両面から、ウォシュレットではホームセンター(HC)で売れ筋となっている比較的価格の安い「貯湯タイプ」ではなく、上位機種に当たる「リモコン瞬間タイプ」の売上が好調だ。同社ではHC店頭でオート開閉機能や電気代がお得になるなど付加価値の訴求により「リモコン瞬間タイプ」の品揃え強化を提案している。とくに18年に発売したKSシリーズは約4万円の価格で「リモコン瞬間タイプ」が購入できるとあって大きく売上を伸ばしている。

 またTOTOでは、付加価値商品の販売のために、店舗の販売スタッフ向けの接客や商品勉強会を強化している。これまでの店舗での勉強会に加えリモートで行う体制を整備し、内容の充実を図っている。新たな形態で店舗の顧客対応力のサポートに乗り出している。

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