HUB&STOCK、アウトレット建材で低価格とサステナブルを両立する

ダイヤモンド・ホームセンター編集部
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余剰建材を回収し、アウトレット価格で販売するHUB&STOCK(東京都/豊田訓平社長)は、間もなく創業5期目を迎える。同社は「HUB&STOCK高島平店」(以下、高島平店)やECのほか、ホームセンター(HC)の資材売場にアウトレットコーナーを展開する。今後は行政や各種機関との連携も視野に入れ、事業の拡大をめざしている。

余剰建材を回収、低価格で販売

 余剰建材を回収し、アウトレット価格で販売を行うHUB&STOCKは2021年4月に創業した。1級建築士の資格を持つ豊田社長が設計事務所で働いていた当時、工事現場で内装資材が未使用のまま捨てられる現状を目の当たりにして、何とかできないかと考えたことが創業のきっかけだ。

 同社の事業は、建築現場などで余った資材を買い取り、アウトレット建材として販売するというものだ。価格は定価の7~8割引きがボリュームゾーンとなっている。商品は未使用の余剰資材のため、新品同様である。取扱商品は床材や壁材などの内装資材が中心で、アイテム数は常時約1万点を揃える。高島平店はショールームとしての役割を果たし、在庫は都内と北関東にある倉庫で保管している。

HUB&STOCKは建築現場で出た余剰資材を買い取り、アウトレット建材として販売している
建築現場で出た余剰資材を買い取り、アウトレット建材として販売している
HUB&STOCK社長の豊田訓平氏
HUB&STOCK社長の豊田訓平氏

 これまでの買取実績は、累計400tに上る。当初は建設現場の倉庫から買い取っていたが、現在はその範囲を広げ、メーカーから在庫や廃盤商品の買い取りも行う。「余剰在庫や廃盤商品は捨てられてしまう。メーカー企業にとっては、処分の費用が浮くだけでなく開発した商品を欲しい人に使ってもらえると喜んでいただいている」(豊田社長)。今後は内装資材のほかに家具も取り扱う予定で、取扱商品のカテゴリーを広げていく方針だ。

 販売は高島平店、EC、HC(プロショップを含む)の3つのチャネルで行う。職人のほか一般の人の利用もあり、その割合は約半分ずつだ。

 HCについては、業務提携をしてアウトレットコーナーを設置し、仕入れた商品を卸している。創業以来店舗数を増やし、今では全国十数店舗のHCで販売を行う。資材価格の高騰や、HCでサステナビリティの取り組みに関心を持つ企業が増えていることが、店舗数の拡大を後押ししている。

 HCでとくに好調なのは、10~30mの細巻の壁紙だ。壁紙は50m単位で販売されるため、壁の一部分だけを貼り替えしたい職人や、DIYを楽しみたい一般消費者の間で人気となっている。

HUB&STOCKが販売している10~30mの細巻の壁紙
10~30mの細巻の壁紙は、壁の一部分だけを貼り替えしたい職人や、DIYを楽しみたい一般消費者の間で人気となっている

行政との連携で事業拡大へ

 アウトレット建材の可能性を多くの人に知ってもらうために、同社はSNSの発信に取り組む。ほかに、ものを大事に使う価値観の醸成や、サステナビリティDIY講習会の企画の準備を進めている最中だ。

 現在の課題は、「売りにくい建材」の販売促進だ。汎用性が高く、すぐに売れる商材がある一方で、個性的なデザインや施工が難しい建材など、ただ陳列するだけでは売れないものもあるのが現状だ。豊田社長は「この課題を解決できないと、建築業界全体の資材ロス解消にはつながらない」と話す。同社は売りにくい建材の販売促進のために、施工手順書だけではわからない商品価値や魅力を効果的に伝えるマーケティングに取り組んでいる。

 豊田社長は今後の展望として、行政や各種機関との連携を掲げる。たとえば空き家問題で困っている地域に対して、行政や市町村と連携ができれば、改修の手配や資材提供が円滑にできると考える。

 「自社だけだとやれることは限られる。しかし、行政を巻き込むことができれば、さらに大きな規模の事業を展開できる」(豊田社長)。

 豊田社長がめざすのは「『資源循環の文化』をつくり持続可能な社会を残すこと」だ。建築業界の資材ロスにとどまらず、社会が抱える問題に目を向けて取り組みを進めている。

 

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