「黒い吉野家」が新たに取り込んだ想定外の顧客層

2020/11/13 05:59
大西良典 OLLDESIGN代表

デザインを変えるだけで繁盛店になる―。なか卵、すきや、吉野家(吉は土+口ではなく、正しくは士+口)など数々の外食チェーンやコンビニエンスストアの外装デザインを手がけてきたOLLDESIGNの大西良典社長はそう断言する。「ダサカッコイイ」デザインを標榜し、来店者増、売上増に結びつけている。そのコンセプトと実例を2回にわたって自著「コロナ危機を生き残る飲食店の秘密」からお届けする。2回目は「黒い吉野家」のさらなるデザイン改革によって新たな顧客を獲得した事例。

野家書影
2017年に登場した「黒い吉野家」。その大胆な色使いと店内デザインに多くの関係者が驚いた(著者提供)

「吉野家」にも近年は見慣れたオレンジ色ではなくブラックをベースにした「黒い吉野家」が各地に登場しています。テレビやネットで話題になったこの「黒い吉野家」は、看板をオレンジから黒にしただけでなく、居心地を重視した空間デザインに刷新。「CC(クッキング&コンフォート)」をコンセプトにしたモデル店舗として生まれました。

 第一号の「黒い吉野家」が東京・恵比寿にできたのは、私が手掛ける以前の2017年。しかし、株式会社吉野家ホールディングスの社長と会長を歴任した「ミスター牛丼」こと安部修仁氏は、さらによくしたいと外部の設計士に依頼するように相談されたそうです。

 それを受けて、吉野家のアルバイトからトップに上りつめた現・吉野家ホールディングス代表取締役社長の河村泰貴氏が、「もっとスタッフが効率よく作業できるデザインに変えてほしい。もっと若いターゲットに訴求するデザインに変革してほしい」と直々に私をご指名くださったのです。

 別案件のデザインコンペで私が野家の歴史を表現した映像をプレゼンしたところ、河村社長と役員の方々が大変感激され、「牛丼屋をよく知っている大西君に『黒い吉野家』のデザインをお願いしたい」と言われたのです。

「黒い吉野家」は、誰もが知っているシンボルカラーの「オレンジの吉野家」に対する一種のチャレンジングな実験的存在です。変えるなら、「えっ、これがあの吉野家!?」と誰もが仰天するようなデザインにしようと私は考えました。

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