コロナ禍で優良顧客の囲い込みに成功!業界平均より大きく売上を伸ばしたローカルスーパー、文化堂の施策とは?
新型コロナウイルス(以下、コロナ)の感染が拡大するなか、スーパーマーケット(SM)業界は、政府からの外出自粛・休校要請、リモートワークの推奨などによる内食回帰、店内での3密回避のための販促チラシの抑制や取りやめ、とくに都下では買物回数の抑制要請といった環境下にあって、売上を伸ばし続けている。しかしながら、この追い風を額面どおりに受け取らず、むしろ不安な面持ちでいたSMがある。“東京地盤”のローカルチェーンとしてSM20店舗を展開する文化堂(東京都/山本敏介社長)だ。
コロナ禍で薄れていた顧客との接点がアプリで復活
「当社では、販促チラシを手にしたお客さまが店長や店舗スタッフのそばにやってきては、『この商品はどこにあるの? 』『これ、おいしかったわよ』などと話しかけてくださることが日常であり、それをきっかけにお客さまとのコミュニケーションを深めるという関係を築いてきた。ところが、チラシを抑制したことで、その機会が失われてしまった」と語るのは、取締役執行役員販売促進部長の冨ケ原守氏だ。同氏が言うとおり、文化堂の場合、チラシの自粛は販管費削減のメリットよりも、顧客とのコミュニケーション機会の喪失というデメリットのほうを強く感じさせる出来事だった。
文化堂では5年以上前から、専用のスマートフォン(スマホ)アプリによる会員サービスを導入している。かねてデジタルデバイスを介したお客とのコミュニケーション深化の必要性を感じていたことから、SM向けのデジタルマーケティングサービスを提供する大トウ(大阪府/米谷善文社長)開発の「タッグショップス」を文化堂オリジナルとして導入したものだ。
タッグショップスは、贈答品、産直スイーツ&グルメ、季節の商品など店頭にない商品を扱うECサービス、メールによる毎日のお買い得情報、特売品の事前情報の告知、デジタルチラシの掲載、会員ランク別サービスのほか、登録店舗(入会時に1店舗を指定する)の店長からのプッシュ通知(アプリが立ち上がっていなくともスマホ画面に表示される)を送る機能も備わっている。
このうち店長からのプッシュ通知は、コロナ禍以前は、日常業務に忙殺されあまり活用されていなかったという。ところがチラシを抑制したことで、それまでチラシ対応に時間をとられていた店長の日常業務に余裕が生まれ、空いた時間を活用して店長からのメッセージ(おすすめ商品、お得情報など)を会員向けにプッシュ通知で積極的に発信するようになった。ただ、現場では「チラシの代わりにはならないが、何もしないよりはましだろう」といった程度の考えだったという。
しかし、反応は予想以上のものだった。
売り方の新常態が来た!新しい販促 の新着記事
-
2020/10/14
プロのコピーライターが解説!2大人気スーパー、オーケーとロピアがファンを作り出す「言葉の秘密」 -
2020/10/14
意外?大阪名物スーパー玉出がコロナ禍で顧客層を拡大させた販促とは -
2020/10/14
お客で絶えない繁盛店八ヶ岳のローカルSM、ひまわり市場に学ぶファンを魅了する最強販促術 -
2020/10/14
コロナ前より売上をアップしている飲食店、専門店が実践している「顧客ストック型経営」とは!? -
2020/10/13
外販ビジネスも拡大!無人AI決済店舗TOUCH TO GOのコロナ禍以降 -
2020/10/13
出店、商品開発、事業拡大…大手も参入!いまクラウドファンディング活用が小売業で進む理由
この特集の一覧はこちら [15記事]
関連記事ランキング
- 2024-09-10食品スーパー売上高ランキング2024 上位の順位変動が示す弱肉強食
- 2024-09-103期以上連続増収増益SMは3社、前年と同じ顔触れ ヤオコーとあと2社は?
- 2024-09-11「PLUS」業態の最新店「肉のハナマサPLUS 押上店」をレポート!
- 2024-09-09【特別編集版】総売上2年連続増加!日本の小売業1000社ランキング2024
- 2024-08-30PCとインストア駆使し魅力を最大化するヤオコーの総菜SPA戦略
- 2024-09-14関東の小売業都県別売上ランキング2024 オーケー、ベルクが2ケタ増収!
- 2024-09-07駅直結の複合施設内に出店した東急ストア、日中のオフィス需要を見込み、総菜に注力
- 2024-09-09日本の小売業1000社ランキング2024、総売上高は過去最高の81.9兆円!
- 2024-08-31総菜SPAが一気に進んだ理由と、対コンビニの新たな潮流とは
- 2024-07-11リニューアルでロピア化した「スーパーバリュー草加店」の売場を解説!