第1回 惣菜の売上は伸びるも食機会数(客数)は伸びていない

東 さやか(エヌピーディー・ジャパン株式会社 )
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フードサービスアナリストから見た中食の実態

人口減少により、食機会数はここ3年伸び悩んでいる

 市場規模拡大が続いていると言われている中食市場。しかし、市場規模以外の客数や食事に利用される回数、利用者層や利用シーンなどの利用実態は一般的に公開されておりません。
 エヌピーディー・ジャパンが提供する外食・中食市場情報サービス『CREST®』は、1年365日継続して行っている調査で、業態や食シーン、利用層ごとの市場規模、食機会数、客単価動向を分析することができます。この『CREST®』から、中食市場の利用実態をシリーズで紹介していきます。

 『CREST®』によると、2018年の中食(レストラン等のテイクアウト含む、小売の飲料・菓子のみの食機会を除く)の市場規模は、約7.8兆円。4年連続で拡大しています。2017年比の成長率は2.3%増でした。一方で、客数にあたる食機会数をみると、2015年の成長率は1.5%増だったものの、2016年0.7%減、2017年0.3%減、2018年0.5%増と、ここ3年伸び悩んでいます。(図表1)

 1食あたりの購入品目や単価は上昇していても、中食を利用した食事回数は伸びていないということになります。

 背景にあるのは、人口減少です。日本の0-69才の総人口は2018年3月時点で前年同期比約1.3%減少しています。食事に関しては胃袋の容量は決まっていますので、人口が減った分だけ客数は減ります。中食市場の食機会数は2018年で前年比0.5%増と微増ですから、人口減による自然減より上回っています。

 言い換えると何もしなければ1.3%は減少するはずの市場で微増を保っているということは、人々のニーズは高まっているということです。

 図表2は、前述の中食機会の日本人口15-79才の1人当たり年間食機会数推移を表しています。2014年には179.0回でしたが、2018年には、183.0回と4年で1人当たり4.0回増加しています。

 

次ページは
今後の中食ニーズの動向は?

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