第1回 惣菜の売上は伸びるも食機会数(客数)は伸びていない
1人当たり利用回数は増加しており、今後も中食ニーズは高まる
1人当たりの年間中食機会数を、さらに年代別でみてみましょう(図表3)。まず、どの年代の中食数が多いか、年代間比較してみると、年齢が低いほど1人当たりの中食回数が多いことが分かります。2018年において、15-29才は217.1回、30‐39才は204.7回、40-59才は176.3回、60-79才は97.5回です。40才未満は1.7日に1回(週に4回以上)は中食していて、60-79才は週に1.8回程度中食している計算になります。次に、各年代の推移に注目してみると、2014年計と比べ2018年計で1人当たりの中食回数は、どの年代でも増加していて、もっとも増加したのは15-29才の+4.5回(+2.1%)でした。30-39才は+3.7回(+1.8%)、40-59才は+3.5回(+2.0%)、60-79才は+1.4回(+1.4%)でした。
中食全体の食機会数は、人口減少により減少していますが、1人当たりの利用回数・ニーズは増加しています。背景にあるのは、単身世帯の増加(自炊しない、できない人の増加、外食からのシフト)や若者のライフスタイルの変化(コンビニを日常的に使う世代、会社の飲み会の減少、外食からのシフト)、働く女性の増加(自炊から中食に頼ることが多くなる)、コンビニの店舗数増加などが挙げられます。さらに中食のニーズは今後ますます高まっていくことが予想されます。さらに、軽減税率の導入により外食と比べ税率の低い中食のニーズがさらに高まる追い風となるでしょう。
今回は、中食機会数推移と、各年代の1人当たりの中食機会数に注目して数字をみてみましたが、この数字だけみて、若者をターゲットにすべきだ!と考えるのは早がってんです。中食全体をみたときに、どの年代のボリューム(1人当たりの食機会数×人口)が大きいのかを考える必要があるからです。また、各年代の人口減少比率も考慮する必要があるでしょう。
シリーズ2回目以降は、中食市場の性年代比率や、職業比率などを中食利用層の実態に迫ります。
社会の変化やターゲット顧客をまずは把握してこそ、ニーズに合った商品を出せるわけで、売上を上げることにつながります。昔ながらの“勘”と自社の売上実績に頼るマーケティングの時代は終わりました。今は、市場全体と社会の動向把握に注力していくことが、マーケティングの基本中の基本と言えるでしょう。
プロフィール
エヌピーディー・ジャパン株式会社
NPDはアメリカをはじめ世界23ヶ国で消費者パネル調査および小売店パネル調査を展開する調査・市場規模測定のリーディング企業。エヌピーディー・ジャパンは外食・中食(業務用食品)市場、 スポーツシューズ・アパレル市場に関する最新動向やインサイトを提供している。
CREST®
外食・中食市場において 「いつ、誰が、どこで、何を、どのように食べ、どの程度満足したか」など消費者のあらゆる喫食動態データを1年365日、直接消費者から収集し、年間13万を超えるサンプル数を元に調査分析できる情報サービス。外食市場規模、中食市場規模、客数を業態、セグメント別に把握可能。
URL: http://www.npdjapan.com/service/food.html
エヌピーディー・ジャパン株式会社
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