SPAモデルと新ブランド「zehi」導入で絶好調 イズミの総菜戦略を徹底解説
中国・四国・九州地方で総合スーパー(GMS)「ゆめタウン」、近隣型ショッピングセンター「ゆめモール」、食品スーパー(SM)「ゆめマート」を展開するイズミ(広島県/山西泰明社長)は、子会社と連携した製販一体のSPA(製造小売業)モデルを志向している。総菜では新ブランドを立ち上げ、手づくり感やおいしさを追求した高付加価値の商品を訴求していく考えだ。
家庭の味と本物志向の両方に対応
イズミの総菜におけるSPAの中心となるのは、総菜の製造を担う完全子会社ゆめデリカ(広島県/阿部睦夫社長)だ。イズミのGMSおよびSMで販売する総菜の商品開発は食品本部には属していない社長直下の惣菜事業部が一括して担当。ゆめデリカが製造する商品の95%は惣菜事業部へ納められ、各店舗へ供給される。
惣菜事業部の売上高はコロナ禍以前の2019年まで10年にわたって対前期比5~8%増のペースで順調に伸長してきた。しかしコロナ禍では、行動制限に伴って盆休みや年末年始での家族の帰省などが減少し、イズミが強みとしていた「ハレの日」向け商品の需要が消失したことで大きな影響を受けた。
20年春以降は買物頻度が減少したことから、消費期限の短い総菜の売上が既存店ベースで対前年比1%減と低迷。しかし、21年にはコロナ禍の長期化に伴って家庭での料理疲れが顕著となり、総菜の売上は徐々に回復してきた。旅行や外食が控えられるなか、韓国料理やインド料理、タイ料理、ベトナム料理など、アジアンテイストのメニューも好調だった。
22年になると、従来、外食で求められていた本格的なおいしさが中食で求められるようになり、ローストビーフ、焼き豚などの高単価な肉商材をはじめ、高付加価値の商品を中心に売上が伸長。惣菜事業部の売上高は21年以降、対前年比2ケタ近く伸びている。
イズミ執行役員惣菜事業部長兼ゆめデリカ代表取締役社長の阿部睦夫氏は消費者に求められている総菜について「『安全・安心で手づくり感があり、家庭の味に近いもの』と『レストランや専門店と同等の本物志向のもの』との二本柱になっている」と分析する。
初の自社ブランドを立ち上げ
こうした考えのもと、イズミグループの総菜売場は売上・利益を伸ばすため、おいしさを追求した高付加価値商品を品揃えするとともに、毎月40品目の新商品をリリースすることで、「いつでも新たな発見と驚きのある楽しい売場づくり」をめざす。人口減少や高齢化が進むなか、継続的な来店を促すのがねらいだ。地元で人気の専門店をベンチマークした本格的な商品を展開するほか、「北海道フェア」などの企画を定期的に実施し、売場の楽しさも演出している。
コロナ後の総菜 の新着記事
-
2022/05/31
東京のローカルスーパー、文化堂で「1980円のタルト」など高単価品がヒットしている事情 -
2022/05/31
アフターコロナ総菜戦略のポイントは「値ごろ感の破壊」値入は率でなく額で管理すべき理由とは -
2022/05/30
外食需要取り込みと生産性向上進める、平和堂の総菜戦略を徹底解説! -
2022/05/30
某大手コンビニをベンチマークに、激安総菜を自社工場で製造するゲンキーの凄さとは -
2022/05/27
プロセスセンターを活用して「付加価値」高める、ライフコーポレーションの総菜戦略を徹底解説 -
2022/05/27
ベルクの総菜戦略を徹底解説!コロナ禍でも「バラ販売」を継続する理由とは
この特集の一覧はこちら [12記事]
イズミの記事ランキング
- 2024-10-19ゆめマート五日市の売場づくりを徹底解説!
- 2020-09-15中四国9県各トップ5ランキング 経営統合でMV西日本急拡大!イズミ、フジも勢力伸ばす
- 2022-04-27食品スーパーが2022年、PBと総菜に力を入れる事情と「総菜復活」への懸念とは
- 2024-03-11ストアオブザイヤー2024、11~20位を一挙公開!話題の店舗が続々!
- 2024-07-03ランサムウェア被害で延期のイズミ本決算がついに発表、西友九州事業取得のねらいは?
- 2024-05-02イズミが西友の九州事業を買収、激動の九州小売マーケットを制するのは?
- 2019-06-24落日のGMSその5 優等生GMSイズミの次の一手
- 2019-11-13イズミ、香川のマルヨシセンターと資本業務提携、持分法適用会社に
- 2020-03-24イズミ、「ゆめタウン宗像」をLIXILビバに売却、食品売り場の運営は継続
- 2021-12-20イズミ、コインスターの両替機を設置、硬貨投入で引換券発行
関連記事ランキング
- 2024-11-08怒濤の出店で1兆円が見えたロピア!大きな進化と懸念される副作用とは
- 2024-11-07「Foods Park」の17店舗目はイオンの跡地に居抜きで出店!
- 2024-11-0633億円めざすマミーマート、生鮮市場TOPセキチュー上尾店徹底解説
- 2024-11-12価格訴求から価値提案にシフト?「岡崎エルエルタウン店」で見られたロピアの進化
- 2024-11-08専門家がヤオコー久喜吉羽店を徹底分析!斬新な鮮魚改革と意外な課題とは
- 2024-11-08店舗網とM&Aの歴史が丸わかり!最新ロピア勢力図MAP!
- 2024-10-19ゆめマート五日市の売場づくりを徹底解説!
- 2024-10-25物言う株主時代に脚光!宅配以外もスゴい「生協」の事業モデルとは
- 2024-11-13繁盛店は80億円!ロピア、強烈な販売力支える「100%現場主義」の正体とは
- 2024-11-11現場力+標準化!繁盛店ロピア五所川原店の分析で見えた「強いまま急成長」の秘策とは
関連キーワードの記事を探す
週刊スーパーマーケットニュース アオキスーパー、「レジ専用イス」を全店に設置が完了
レシートは語る第15回 まもなく関西進出のオーケー、データでわかる競争力と成功のカギ
既存店の数字が良い企業は実践!競合スーパーが進出しても影響を受けない方法