中国3月PPIは前年比+0.4%、9カ月ぶり加速 デフレ懸念和らぐ

ロイター
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4月11日、中国国家統計局が発表した3月の生産者物価(PPI)は、前年同月比0.4%上昇と前月の0.1%上昇から伸びが加速した。写真は山東省青島市で昨年6月に撮影。提供写真(2019年 ロイター)

[北京 11日 ロイター] – 中国国家統計局が11日発表した3月の生産者物価(PPI)は前年同月比0.4%上昇し、前月の0.1%上昇から伸びが加速した。

PPIの上昇率が加速したのは9カ月ぶり。政府の景気刺激策の効果が出始めた可能性があり、デフレに対する懸念が緩和された。

ロイターのアナリスト調査でも、コモディティー(商品)価格の上昇を背景に0.4%上昇すると予想されていた。

3月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.3%上昇。前月の1.5%上昇から伸びが加速した。ただ市場予想の2.4%上昇は下回った。

CPI上昇率は2018年10月以来の高水準。アフリカ豚コレラの感染拡大を背景に豚肉価格が値上がりした。

アナリストは、物価の上昇傾向が続くかどうかを判断するには、今後数カ月分のデータを確認する必要があると指摘。政府の一段の刺激策も求められると述べている。

PPIの上昇の大半は、鉱山分野によるもの。「抽出」は前年比4.2%上昇と、2月の1.8%上昇から加速。「原材料」も下落率が鈍化した。

ただ、需要の拡大ではなく、商品相場の変動の影響が大きかった可能性もある。耐久消費財の価格は2カ月連続で低下している。

キャピタル・エコノミクスの中国担当シニアエコノミスト、ジュリアン・エバンズプリチャード氏は「原油価格は今後数カ月で下落すると予想され、PPIの重しとなる見通しだ。同時に景気の弱さも全体的な物価上昇圧力を抑制するだろう」と指摘した。

3月のPPIは前月比ベースでは0.1%上昇と、5カ月ぶりに上昇に転じた。2月は0.1%低下だった。

中国経済は内需の減速や米中貿易摩擦を背景に過去30年近くで最も緩慢な伸びにとどまっている。

こうした中、当局は道路や鉄道、港湾への投資拡大を計画しており、建設資材の需要や価格を押し上げると見込まれている。

また、3月には約2兆元規模の減税を発表した。

今月から実施された増値税(付加価値税)引き下げを受け、すでに電力や天然ガスの値下げが行われたほか、ガソリンやディーゼルの小売価格も引き下げられる見通しだ。アップルやBMWなど多くの企業も値下げに踏み切っている。

3月のCPIは前月比では1.2%上昇した。

豚肉価格は前年比5.1%上昇。前月までは25カ月連続で低下していた。

一部のアナリストは、今年の中国の豚肉生産が30%前後減少し、豚肉価格が急騰するとの見方を示しているが、中国人民銀行(中央銀行)は、食品とエネルギーを除くコアインフレ率が安定している限り、一時的な食品価格の上昇には過剰反応しないとみられている。

食品を除くCPIは前年比1.8%上昇。2月の上昇率をやや上回った。

 

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