ライフ2022年度通期決算を発表! 今期よりスタートの第7次中期経営計画でめざす姿とは?

2023/05/02 05:55
棚橋 慶次
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ライフコーポレーション(大阪府/岩崎高治社長:以下、ライフ)が4月10日に公表した2023年2月期の連結決算は、営業収益が前期から29億円減(新収益基準適用のため前期業績との増減率はなし)の7654億円、営業利益が同16.5%減/同37億円減の191億円、当期純利益が同12.4%減/同18億円減の133億円だった。新収益基準会計の営業収益への影響は-202億円あり、適用前の基準では営業収益は7856億円、対前期比では2.3%増の実質増収だった。

減益着地も利益は高水準

 2023年2月期決算は減益着地となったライフ。新規出店やネットスーパーの拡大、プライベートブランド(PB)の拡販などにより、営業収益は旧収益基準ベースの比較で増収を果たしている。売上総利益率も前期から0.29ポイント増(収益認識基準適用前ベースで比較)となるなど粗利改善も進んだものの、水道光熱費の高騰、継続的に進めてきた処遇改善および採用強化に伴う人件費増など各種コストが増加。売上高販管費比率は0.85ポイント(同適用前ベースで比較)上昇し、各段階利益を押し下げた。

 2023年2月期はライフにとって6次経営計画の最終年度に当たる。業績はおおむね順調で、営業収益は実質19期連続の増収、コロナ前の2019年度(7146億円)と比較すると約710億円増えた。利益も堅調に推移しており、前期に続いて減益となった2023年2月期も経常利益は191億円と200億円近い水準を維持しており、コロナ前の19年度(145億円)と比べると約32%も増やしている。決算会見に臨んだ岩崎社長も「会社として一段上のレベルにきた」と評価する。

 既存店が堅調な点も心強い。2023年2月期の既存店売上高は対前期比で99.9%、客数が98.7%となったものの、客単価が101.2%と好調に推移し、ほぼ前年並みを確保し、巣ごもり効果による特需があった2期前と同程度の水準を維持している。

 ライフがここ数年力を入れているのがPBの拡大だ。「スマイルライフ」「ライフプレミアム」「ビオラル」「スターセレクト」と複数のPBを持つ同社。PBの23年2月期売上高は約680億円で、売上高に占める割合は約9.1%に達する。PBの中でとくに勢いがあるのがナチュラル・オーガニックブランドの「ビオラル」だ。近年は改装などのタイミングで既存店にもビオラルコーナーの導入を進めており、同コーナー設置店舗は全店の約8割に当たる240店舗まで増えた。

 そのほか、近畿圏ではプロセスセンターの再編を実施し、弁当・総菜の生産や生鮮品の加工能力を飛躍的に向上させた。そうした地道な取り組みが、ライフの業績の力強さを下支えしている。

今期は増収増益の見通し

 2024年2月期の連結業績予想では、営業収益(新収益認識基準ベース)が対前期比4.6%増/前期から355億円増の8010億円、営業利益が同3.4%増/同7億円増の198億円、当期純利益が同1.3%増/同2億円増の135億円と増収増益を見込む。

 23年2月期に続いて、24年2月期もPB拡充などによる既存店売上高のアップ、首都圏・関西圏あわせて10店舗の新規出店、ネットスーパーの強化などを通じて、営業収益を上積みするとともに、粗利益率改善にも引き続き取り組む。プロセスセンターによる店内の加工作業の取り込み、総菜やPBの強化を通じた収益性向上をめざす。

 店舗オペレーションに関しても全店に電子棚札を導入するほか、発注プロセスなどへのシステム投資も継続する。これらにより人件費増加や25%前後の増加が見込まれる光熱費の上昇影響を吸収し、販管費の抑制につなげる構えだ。

 だが、競争は激化の一途をたどっており、ライフといえど盤石とは限らない。商勢圏では、オーケー(神奈川)、ロピア(同)など低価格を武器とするプレイヤーが急成長している。

 そうした中、ライフはいかなる手を打つのか。決算発表と同時に、ライフは第7次中期経営計画を公表した。2023~2026年度の4カ年の中計のテーマは「つながろうライフ!つなげようlife!」だ。定量目標としては、「2030年度にライフがめざす姿」として2030年度までに売上高1兆円、経常利益350億円、当期純利益220億円の達成を掲げた。売上高1兆円というと、2023年2月期の営業収益が7654億円だから約3割の上積みだ。店舗数も現在より約35%増となる400店舗をめざす。

 また中計では、「ライフは地域密着のスーパーマーケットとして、皆様に『私のスーパーマーケット』と言っていただける会社になる」という定性目標も定めている。これを実現するために、「人への投資」「同質化競争からの脱却」「持続可能で豊かな社会の実現に貢献」という3つの主要テーマで改善活動を推進するとしている。

 岩崎社長は「中計は、従業員があるべき姿に向かってベクトルを合わせることに存在意義がある」と話す。単独の食品スーパー企業としては前人未到となる売上高1兆円に向けたライフの新たな挑戦が始まっている。

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