カスミ塚田英明新社長が語る、業績回復に向けた今後の施策と戦略

聞き手:阿部 幸治 (ダイヤモンド・チェーンストア編集長)
構成:松岡 由希子 (フリーランスライター)
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ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(U.S.M.H:東京都/藤田元宏社長)傘下のカスミは、 2024年2月期には新しい販促施策への切り替えに起因する顧客離れにより業績が低迷した。こうしたなか、いかに業績回復や今後の成長を図っていくのか。今年3月に新社長に就任した塚田英明氏に聞いた。

無人店舗は今期中に300カ所まで拡大へ

──直近の業績について状況を聞かせてください。

塚田 英明
塚田 英明(つかだ・ひであき)
●1964年3月生まれ。1986年カスミ入社。 2011年店舗開発・サービス本部店舗企画部マネジャー、 16年執行役員開発本部副本部マネジャー(兼)店舗企画部マネジャー、17年3月に商品本部マネジャー、同年5月に取締役就任。20年3月営業統括本部マネジャー(兼)商品開発本部(管掌)、同年5月常務取締役上席執行役員、 21年3月新業態開発プロジェクト(兼)組織人事プロジェクトリーダー。 22年3月経営戦略担当(兼)店舗開発部マネジャー、同年5月専務取締役、23年3月事業戦略担当(兼)営業統括本部マネジャー、同年5月イオントップバリュ取締役(現任)、24年3月より現職

塚田 23年7月に従来のチラシを中心とする販促からポイントプログラムを中心とする販促施策に変更しました。お客さまに周知して理解を得るまでに時間がかかり、一時的に顧客離れが起きて業績が厳しくなったのも事実です。

 販促の切り替えは、お客さまに戸惑いが生じます。カスミでは1カ月の周知期間を経て、新たな販促施策に移行しました。店頭でも積極的にお客さまに説明しましたが、伝わりづらい面があったと実感しています。一気にではなく段階を踏んで切り替えていくという方法も一手かもしれません。

 現在、お客さまが徐々に新しい販促施策に慣れてきたことから、24年3月以降、売上高、客数、買い上げ点数ともに回復基調にあります。25年2月期第1四半期の既存店売上高は対前年同期比3.2%減と、24年2月期通期の同5.2%減から2.0ポイント向上しており、6月はさらに改善する見込みです。

──消費者の購買行動をどのようにみていますか。

塚田 物価高が継続するなか、24年4月以降、潮目が変わりました。家計の負担感が増大し、シビアに買物する消費者がさらに増加しています。業態を超えた競争がますます激しくなり、複数の店舗で買い回りする消費者も増えています。

 本拠地の茨城県では、人口減少や少子高齢化に加え、単身世帯が増加するなど、消費者の多様化が進み、ターゲットを絞り込みづらくなってきました。特定のターゲットを一方的に決め込むよりも、不特定多数に向けて来店や購入につながる“ひっかかり”をつくることが重要になっています。

──茨城県内でどのようにシェアを拡大していきますか。

塚田 カスミは現在、茨城県内で3割弱のシェアを占めています。

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聞き手

阿部 幸治 / ダイヤモンド・チェーンストア編集長

マーケティング会社で商品リニューアルプランを担当後、現ダイヤモンド・リテイルメディア入社。2011年よりダイヤモンド・ホームセンター編集長。18年よりダイヤモンド・チェーンストア編集長(現任)。19年よりダイヤモンド・チェーンストアオンライン編集長を兼務。マーケティング、海外情報、業態別の戦略等に精通。座右の銘は「初めて見た小売店は、取材依頼する」。マサチューセッツ州立大学経営管理修士(MBA)。趣味はNBA鑑賞と筋トレ

構成

松岡 由希子 / フリーランスライター

米国MBA 取得後、スタートアップの支援や経営戦略の立案などの実務経験を経て、2008年、ジャーナリストに転身。食を取り巻く技術革新や次世代ビジネスの動向をグローバルな視点で追う。

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