日本は「最重要」市場!ウーバー、グローバル責任者が語る2つの強みと成長戦略とは

湯浅 大輝 (ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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23年の目標は「日本全国での展開」

――デリバリーサービスの発展を受け、日本国内の食品スーパー(SM)も自社のネットスーパーやQ(クイック)コマースを開始させるなど、サービスの内製化を進めています。

 食料品の配送サービスがより一般化するという意味では、競争環境の激化は当社にとっても良いことだと捉えています。ウーバーイーツが他のプラットフォーマーと比べて優れている点は主に2つです。1つ目は、小売業者にとって新たな需要を創造できる点。日本国内だけでなく、世界中で共働き世帯の増加による「買物時間の不足」という問題が起きています。彼ら・彼女たちにむけて、日常の食材を自宅まで届けるという価値を訴求することで、小売業者がこれまで獲得できなかった層のお客からの売上を期待できるのです。
 
 2つ目は「ロジスティクス」、つまりラストワンマイル問題の解決です。ウーバーイーツは独自の配送体制の構築により、お客さまの自宅まで速く商品を届けることができます。既存の小売店では配達員の人員不足や配送体制のノウハウ不足などにより、ウーバーイーツほど、効果的に食料品を届けるのは難しいのではないでしょうか。

 ウーバーイーツ食料品デリバリーの成長は斬新であり、今後も一定の速度で需要が増していくことが見込まれます。ネットスーパーでは、お米や水などの重い商品の売上構成比が高いですが、ウーバーイーツはグローバルにおいても、バナナやたまご、玉ねぎなどの野菜といった調理のための生鮮品がメーンです。

――日本のウーバーイーツにおいても、今後食料品以外のカテゴリーの販売の強化に取り組む可能性はあるのでしょうか。

 私が創業した南米の食料品デリバリーサービスであるCornershopでは、当初は食料品だけでしたが、次第に化粧品や書籍、住宅関連などカテゴリーを増やしていきました。日本でも、非食品のカテゴリーの販売を始める可能性は高いと思います。しかし、現在の優先事項が、食料品であることは明言したいと思います。SMやディスカウンター、コンビニエンスストア、ドラッグストアなど、食料品を販売するさまざまな業態のパートナーを増やしていきたいですね。

――最後に、今後の目標を教えてください。

 日本国内においては、23年中に日本全国でウーバーイーツの食料品デリバリーサービスを利用できる体制を整えていきます。たとえば北海道札幌市ではジェイ・アール生鮮市場(運営会社:JR北海道フレッシュキヨスク/小山俊幸社長)との協業を22年10月に開始させるなど、サービスは全国へ拡大しています。

 食料品デリバリーサービスへの参入は、小売業者にとって、新たな顧客の獲得やブランドの認知という意味でも、今後より重要な位置を占めていくようになるでしょう。日本でも多くのお客さまにウーバーイーツの価値を届けていきたいですね。

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記事執筆者

湯浅 大輝 / ダイヤモンド・チェーンストア 記者

1996年生まれ。シンガポール出身。同志社大学グローバル・コミュニケーション学部卒業後、経済メディアで記者職に就く。フリーライターを経て、2021年12月ダイヤモンド・リテイルメディアに入社。大学在学中に1年間のアメリカ・アリゾナ州立大学への留学を経験。好きな総菜はローストビーフ、趣味は練馬区を散歩すること。

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