トライアル スピード成長のその先

雪元 史章 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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協業企業・領域の拡大続くリテールDXの取り組み

 リテールDXの領域でも、取り組みの規模が日に日に拡大している。

 DX関連の開発拠点となっている福岡県宮若市の「リモートワークタウンムスブ宮若」には、全国から協業関係にある卸やメーカーが集結し、AIを用いた購買データの分析や販促施策への活用を協働して実施。参加社数は増加傾向にあり、現在は同業の小売業やITベンダーなど業種も拡大している。

 また、今年に入ってから日本電気(NEC:東京都/森田隆之社長)と顔認証技術の開発で、日本電信電話(NTT:東京都/島田明社長)とはサプライチェーンマネジメントの最適化に向けた取り組みで、それぞれと協業することを発表している。

 このほか、物流、リテールメディア、防犯といった領域を「非競争領域」と位置づけ、同じ九州を地盤とする小売業との連携を拡大。外部企業との連携による、流通ビジネスの変革をめざす動きは以前に増して活発化している。

 このように、出店・店舗開発、商品づくり、そしてリテールDXに向けた動きを同時並行で加速させるトライアル。上場による市場からの資金調達と自社に対する信頼の形成により、そのスピードはより加速していくだろう。

 そしてそれは、トライアルの競争力が今以上に高まることを意味する。高いレベルでの生鮮強化の取り組みやローカライズされたMDを武器とした店舗が、SuCから小型店までのマルチフォーマットで全国で増加。その一方で、外部企業との連携拡大のもと進むリテールDXの取り組みが、サプライチェーンの効率化・最適化や購買体験の向上を実現する──。

 「日本の流通ビジネスを変革する」ことを長年提唱してきたトライアルは、その実現に向け“トライアル”を重ねながら、着実に歩を進めている。

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記事執筆者

雪元 史章 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

上智大学外国語学部(スペイン語専攻)卒業後、運輸・交通系の出版社を経て2015年ダイヤモンド・フリードマン社(現 ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。

企業特集(直近では大創産業、クスリのアオキ、トライアルカンパニー、万代など)、エリア調査・ストアコンパリゾン、ドラッグストアの食品戦略、海外小売市場などを主に担当。趣味は無計画な旅行、サウナ、キャンプ。好きな食べ物はケバブとスペイン料理。全都道府県を2回以上訪問(宿泊)済み。

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