トライアル スピード成長のその先
マルチフォーマット化と部門間連携が新たな武器に
トライアルにとっても上場は歴史的出来事であったはずだが、社内関係者は総じて冷静だ。ある社員は、「社内でも『驕ってはならない』という雰囲気が漂っている」と明かし、亀田社長が言うようにあくまでも今後のチャレンジや成長の礎であるという考え方のようだ。
では、トライアルが株式上場を経て展望する未来とはどのようなものなのか。それをさまざまな切り口で探るというのが、本特集のねらいである。詳しくは次ページ以降を参照されたいが、冒頭でも簡単にまとめておこう。
まずは出店政策である。ここ数年間でも積極的な出店を続けているが、4月には初めて香川県に出店し四国進出を果たすなど、新規エリアの開拓にも動き始めている。大店立地法の届け出などで明らかになっているだけでも、すでに強固なドミナントを築いている北海道や九州に加え、静岡や富山といった出店実績のない地域での開業も控えている。
出店政策に関してもう一つ着目したいのが、近年出店が進んでいる小型フォーマット「TRIAL GO」である。同フォーマットは九州を中心に約40店舗を展開しており、そのサイズは50坪程度から数百坪まで多様だ。現在はさまざまな立地での実験段階にあり、今後最適な売場サイズや品揃えを確立していくという。このマルチフォーマット化によって出店余地が従来よりも拡大することは確実だろう。
生鮮強化をはじめとする商品政策(MD)も、さらなる進化の途上にある。たとえば、最近ではローカライズを志向したMDが各店で目立つようになってきた。トライアルでは事業エリアごとに店舗開発や MD立案を行う体制が整いつつあり、その一環で地元メーカーの商品や、地域の需要に即した総菜開発などが進んでいる。
また、総菜の開発・製造を手掛けるグループ傘下の明治屋(福岡県)の大塚長務社長が、新たにトライアルカンパニーの食品商品開発部長を兼任する体制に移行。これにより、総菜にとどまらず生鮮各部門が横連携する素地が出来上がり、多様化する食ニーズに対応した商品開発のスピードも上がることになりそうだ。
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