ファストリ業績絶好調も…日本の大衆から乖離するユニクロはどこへ行く?

小島健輔 (小島ファッションマーケッティング代表)
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客数減で伸び悩む国内ユニクロ

連結決算は絶好調だが、海外ユニクロ事業が牽引した結果である。国内ユニクロ事業は停滞を抜け出せないでおり、その要因はコロナが明けても回復が進まない客数にある。

 国内ユニクロ事業の既存店売上前年比(Eコマースを含む)は229月〜232月の110.0から、行動規制が解除された233月〜8月は104.7と減速し、239月〜11月は100.2と水面スレスレまで落ち、12月は前年が116.9と高かったこともあって84.6と2ケタ減となった(241月も100.4と水面スレスレ)。

 既存店客数も低迷しており、229月〜232月は98.4233月〜8月は95.3239月〜11月も97.2と前年を割り続け、12月は85.4と大きく落としている。直近の241月も98.7と前年割れしている。

 これをコロナ前の19年比で見ると、売上は229月〜232月こそ105.7と水面を超えていたが233月〜8月は100.0と水面まで低下し、239月〜11月は95.2と落ち込み、12月も93.4と低迷、241月も97.2にとどまる。

 同様に19年比の客数は、229月〜232月の95.6から233月〜8月は84.7と急落し、239月〜11月は92.2とやや戻したものの12月は82.7と再び落ち込んでいる。この間、客単価は229月〜232114.1233月〜8月は118.0と値上げが浸透したが(その分、客数は落ち込んだ)、高気温で秋冬アウターの動きが鈍かった239月〜11月は103.4と客単価が伸びず、12月は112.9と再上昇して客数が落ち込んだ。

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記事執筆者

小島健輔 / 小島ファッションマーケッティング 代表

小島ファッションマーケティング代表取締役。洋装店に生まれ、幼少期からアパレルの世界に馴染み、業界の栄枯盛衰を見てきた流通ストラテジスト。マーケティングやマーチャンダイジング、店舗運営やロジスティクスからOMOまで精通したアーキテクト。

著書は『見えるマーチャンダイジング』から近著の『アパレルの終焉と再生』まで十余冊。

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