新たな収益源も!一時成長ストップのコンビニが、再び急成長を始めた理由!
新フォーマットにエリアカンパニー制…地域対応を高度化
コロナ禍を経たCVSの動きとしてもう1つ押さえておきたいのが、次なる売上成長のカギに地域対応を挙げ、より戦略的に日常的な需要の深掘りを始めていることだ。
セブン-イレブンの永松文彦社長は、「脱ワンフォーマット」を掲げ、立地や地域ごとのニーズに合わせて店の品揃えを変える方針を明確に打ち出している。その一環として23年には、セブン&アイ・ホールディングス(東京都/井阪隆一社長)グループのスーパーストア事業で培ってきた知見やネットワークとCVSを融合させた新フォーマット「SIPストア」の出店を発表。売場面積を100~150坪に、取扱品目数を約5000~6000品目に広げ、イトーヨーカ堂(東京都)の生鮮や冷凍食品のPBなどを扱う。24年2月期中には検証のために異なる立地で複数店出店する計画で、まずは千葉県でテスト店舗を開業予定だ。生鮮食品まで品揃えを広げることから食品スーパー(SM)とも競合することが予測され、同フォーマットが本格的に多店化するとなれば、商圏内の食品小売競争に波紋を呼びそうだ。
ファミリーマートも価格や品揃えの地域対応を「地域戦略」と位置づけ、23年3月からは、「地区MD部」と本部で連携して、地域ごとの現状をマトリクスで可視化し、より地域に即した価格対応と品揃えを実践する試みを始めている。
ローソンは、23年から全国を計8カンパニーに分割する「エリアカンパニー制」に移行。各エリアに営業・商品・店舗開発機能を委譲し、エリアごとに地域に密着した事業運営を行う体制を整えた。すでに店内調理する「まちかど厨房」では、計6種類の銘柄米を地域の嗜好に合わせて使い分けるなど細かい対応を行っている。
こうした地域に密着したCVSの強さを証明しているのがセコマ(北海道/赤尾洋昭社長)だ。大手CVSに比べて規模こそ小さいものの、地盤とする北海道で地域に密着した商品・サービスを提供し支持を得続けている。昨今では、地元生産者との継続的な関係を生かした商品開発や、地元のプロスポーツチームとの協業など、同社の取り組みは地域との連携によってCVSの可能性はまだまだ広がることを示唆している。
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このようにコロナ禍から復活したCVSはすでに次なる成長に向けて大きく動き出している。
UBS証券アナリストの守屋のぞみ氏は、国内人口が減少するなか中長期的にCVSが成長するためには「商品・サービスの幅を広げることが、店舗網を存続させる必要条件」と指摘する。その方向性は、商品の幅をSMや外食の領域まで拡大したり、デリバリーにも対応したりと、生活者のあらゆる日常需要を取り込むことだ。新規事業による新たな収益源が加わってくれば積極的な投資も可能になる。
CVSがコロナ禍から体力を回復させた今、食品小売業各社は再びマークするべき存在と認識し、対策を講じる必要があるだろう。
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