誕生から30年……集客力は健在? 国内アウトレットモールの現在地

棚橋 慶次
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アウトレットビジネスをけん引する“2強”企業

 日本ショッピングセンター協会によると、日本国内では33店舗のアウトレットが営業している(4月28日時点)。うち三菱地所系の「プレミアム・アウトレット」が10店舗、三井不動産系の「三井アウトレットパーク」が12店舗、合わせると22店舗で全体の2/3を占める。

 この2社は開業後も定期的にテナント構成を見直し、メンテナンスを図っていくスタンスが強さの秘訣だ。たとえば三井アウトレットパークを例に取ると、店舗数日本最大とも言われる「三井アウトレットパーク木更津」(千葉県木更津市)では、高級ブランドだけでなくライフスタイル系にも注力し、集客に繋げている。

THE OUTLETS HIROSHIMA

 そのほか、イオン(千葉県)グループが運営する2018年開業の「THE OUTLETS HIROSHIMA」(広島県広島市)にも注目したい。同店はアウトレット店舗だけでなく、ボーリング場やバッティングセンターが入居するほか、瀬戸内エリアの食を発信する売場を設けるなど、エンターテイメント・グルメ系の充実ぶりが話題を呼んでいる。 同店は工業団地「グリーンフォートそらの」の一角にあり、造成地の特性である斜面を活かして、吹き抜け中央には、高さ約12メートルの大型LEDビジョンを設置し、既存の概念を覆すような空間を実現しているのも見どころだ。

少子高齢化・施設老朽化…アウトレットに立ちはだかる課題

 アウトレットモールの今後についても考察してみたい。米国ではアウトレットに限らず、大型ショッピングセンターの「デッドモール化」が深刻化している。多くの米国民にとって、モールは生活の基盤であり、若者はモールで友人と過ごし成長してきた。しかし、ネット全盛時代を迎え、「場」としてのモール機能は急速に失われつつある。

 日本国内はどうか。11年に冒頭で紹介した日本最初のアウトレットモール「リズム」が、17年には「大洗リゾートアウトレット」(茨城県東茨城郡)も業態転換した。6月1日には八ヶ岳リゾートアウトレットが事業停止するなど、アウトレットモールといえども、勝ち組負け組が鮮明になってきた。生き残るには継続した努力が欠かせない。地域観光との連携やきめ細かいフォーマットのアップデートによる魅力づくりが生き残りのカギを握っている。

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