オーケー、関西スーパー買収意向を正式表明  株主に求める5つの再検討項目とは?

大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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オーケーは株主視点での
経営統合の再検討を要求

 一方のオーケー側の提案では、TOBが実現されれば、関西スーパーを完全子会社化する。経営方針についてはオーケーが掲げる「高品質・Everyday Low Price」を導入していく考えだ。

 オーケーは冒頭の公開資料内で、関西スーパーとH2Oの株式交換取引と、オーケーによるTOBの提案について、あらためて比較検討を求める以下の5つの項目をあげている。

1.  オーケーの提案により、関西スーパー全株主に交付される現金対価と、本株式交換取引による関西スーパーの理論株式価値により少数株主が享受できる価値との比較が具体的にどうなされたのか
2. 本株式交換取引では、シナジーの実現リスクを関西スーパーの少数株主が負うこと
3.  関西スーパーの理論株式価値にいわゆるコントロールプレミアムが含まれているか否か
4.  本株式交換取引による大規模な希薄化がもたらす少数株主への影響
5. その他本株式交換取引による少数株主への潜在的な影響
 
 たとえば、4について解説すると、本経営統合はH2O傘下の イズミヤ、阪急オアシスとの株式交換方式によるもので、関西スーパーが新株または自己株式を割り当てるものとしている。しかしそれによって議決権比率の大規模希薄化が生じ、関西スーパーの少数株主の株式所有割合が低下してしまうことなどをオーケーは指摘している。

 前出のアナリストは「関西スーパーとH2Oの経営統合案は、あくまで経営陣のメリットの側面が多く、株主にとっては今回のオーケー側の提案が魅力的に映る可能性もある」と話す。

 今後オーケーは、10月29日開催予定の関西スーパーの臨時株主総会において、反対票を投じる予定。そしてH2Oと関西スーパーの経営統合が否決されれば、TOBを提案する意向があるとしている。ただし関西スーパーに対し敵対的なTOBを行うつもりはないとしている。

 関西スーパーの福谷社長は31日の会見で、「大株主にはオーケーさんなどがあって、賛同を集める勝算はどれだけあるのか教えて欲しい」という記者からの質問に対し、「今回の経営統合により、関西スーパー、イズミヤ、阪急オアシス、あわせて4000億円の企業規模になる。これは株主さまにとって最大のメリットになると思っている。今回の統合によって、株主さまから確実にご理解いただけると考えている」と答えている。

 臨時株主総会の場で、H2Oと関西スーパーは、オーケーからの「1株当たり2250円」を上回るリターンを提供できる成長ストーリーを提示し、株主を説得することができるか、業界中の視線が注がれている。

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記事執筆者

大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。

最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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