従来のやり方は通用しない「脱・スーパー」が生きる道=さえきセルバHD 佐伯 行彦 社長

聞き手:下田健司
構成:リテイルライター:太田美和子
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──政策の相性という点からすると、セルコチェーンの加盟社と手を組んでいく可能性が高いのでしょうか。

佐伯 当然、加盟社同士で情報共有していく必要はあります。そのために定期的に集まっていろいろな情報交換をしています。その中で問題が早期発見できれば、打てる手はあるはずです。経営統合もひとつの手ですが、場合によってはその企業の出店エリアでセルコチェーンに加盟していない他企業と統合する方がよりよい経営判断となる場合もあるでしょう。経営判断の解答はひとつではありません。ケースバイケースで、10通りのケースがあれば、10通りの解答があるのです。

 セルコチェーンの加盟社に限らず、あらゆるSMに共通しているのは、生き残れるかどうかという危機感です。今は、インフレもあって売上が毎年上がっている昭和の時代ではありません。当時は「儲け癖をつけろ」などとよく言いましたが、今は儲けるどころか、生き残れるかどうかの問題になっています。

 企業規模が大きいから安泰という保証はどこにもありません。大企業でも危機意識を持っているのではないでしょうか。

「食」の知識を持った販売のプロを育成へ

──さえきセルバHDの今年度の重点方針を教えてください。

佐伯 販売のプロとして、一つひとつの商品について、知識を持った人材を育てたいと考えています。

 お客さまの中には、従業員よりも知識を持った人が大勢いらっしゃいます。単に商品を購入するだけのお客さまもいらっしゃいますが、やはりお客さまが従業員と相対して買物するのは日本の文化です。食のスペシャリストとして生き残るために、従業員にプロとしての教育をしていかなければならないと考えています。

 現在、部門ごとの研修、主任研修など月間スケジュールを決めてエリアごとに教育をしています。また、営業会議で商品の試食も行っています。商品は全部食べて味わってみないと、お客さまに「おいしさ」を伝えることはできません。

 さらに、商人である前に人間であるべきと考え、「人間育成」も教育テーマに掲げています。「脱・スーパー」をめざす前に、まず「人」という基盤づくりをしていきたいと思っています。

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