マーケットイン発想で売場をつくり直す!=ユニー 佐古 則男 社長

聞き手:千田 直哉 (編集局 局長)
構成:下田健司
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ネットにはない買物の楽しさを提供する

──ネット通販市場が拡大しています。どんな対策を考えていますか。

佐古 ネット通販の市場シェアは、日本3%、米国6%、中国10%と言われています。5年から10年で、日本では10%まで伸びるでしょう。

 対策の1つは買物の楽しさを追求することです。これまで、われわれは実需を追いかけてきましたが、これからは衝動買いのマーケットを取り込んでいきます。衝動買いができるような店舗の売場構成や商品構成にすることがポイントになります。売場の楽しさはネットの世界にはありません。ネットにはない嗅覚・味覚・触覚を売場の中で体験できるようにしていきたいと考えています。

 もう1つは、リアル店舗でネットの買物をできるようにすることです。たとえば、食品で1万円もする商品を店頭に陳列できませんが、これをスマートフォンやタブレット端末を使って買えるようにする。われわれには、実際に看板を掲げたリアル店舗の優位性があります。中京地区でドミナントを形成していることを、リアルとネットの融合においても、生かしていきたいと考えています。

──ネット経由での売上はどれくらいを見込んでいますか。

佐古 3年後に100億円をめざしています。どの分野に特化していくのかが重要だと考えています。ロングテールの商品を扱う考えはありません。たとえば、当社ではクリスマスツリーの品揃えを強化していて、中京地区でシェアが高い。そうした特化した分野をつくっていくのです。また、保険やクリーニング、リフォームなどのサービスをモノと組み合わせて販売することも重要になっていくでしょう。

──4月の消費税増税で消費が冷え込むと見られています。どんな見通しを持っていますか。

佐古 小売業の業績は悪くなると思います。1997年、消費税が3%から5%に引き上げられたとき、2年続けて売上が減少しました。今回も同じように売上は減少するでしょう。とくに住居関連品と衣料品の減収は避けられません。いかに売り方を工夫し、減収幅を小さくして利益を残すか、そこが大きなポイントになります。

 また、リーマン・ショックのときもそうでしたが、価格志向が強まるでしょう。ただ、われわれが低価格路線に踏み込めば、利益が吹き飛んでしまいます。価格対応はしますが、積極的に安売りをすることは考えていません。むしろ、価格以外で、お客さまの生活を豊かにする提案にこそ価値があると思っています。チラシに低価格の商品を掲載しただけで売れることはなくなるでしょう。消費者のニーズは多様ですが、われわれは、マスのニーズをつかんでいく必要があります。チラシでも、この商品とこの商品はテイストが同じだから、まとめて提案すれば、お客さまに新たな価値を提供できるかもしれません。そんな提案をしていきたいと考えています。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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