いなげや、20年度上期決算は増収増益 好調のうちに取り組む仕入れ先の集約

松尾 友幸 (ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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既存フォーマットの見直しに注力

いなげやの本杉社長
いなげやの本杉吉員社長

 いなげやは今期を初年度とする中期3か年計画に基づき、下期以降もグループ全体の組織力と収益力の強化に取り組む方針だ。

 スーパーマーケット事業では、既存店の改装を中心にフォーマットの見直しに取り組む。いなげやの店舗には大きく分けて売場面積300坪、450坪、600坪の3種類のフォーマットがあり、売場面積に応じて最適な商品政策(MD)を試行錯誤していく考えだ。各売場の尺数や商品の内容を見直していく。たとえば、コロナ禍で売上が落ち込んでいる総菜については、鮮魚部門の素材を使用した刺身や寿司など、一部店舗で実施している生鮮総菜の拡大を視野に入れる。来期の新規出店や改装でコロナ以降の競争激化を勝ち抜けるフォーマットを構築したい考えだ。

仕入れ先の集約にも取り組む

 また、商流・物流の見直しを実施する。たとえば、インストアベーカリーを導入している店舗から導入していない店舗に商品を供給するなど、店舗間の商品移動で充実した品揃えを実現し、顧客の満足度を高めていきたい考えだ。

 加えて、いなげや、三浦屋、ウェルパークの仕入れの集約にも取り組む。これまでは、同じ商品でも各業態がそれぞれ別のルートで仕入れを行っていたが、効率化やコスト低減などをめざし、統一を図っていく。たとえば、いなげやとウェルパークで同じ商品を販売しており、ウェルパークのほうが仕入れ原価が低い場合、ウェルパークの仕入れルートに一本化するという具合だ。これと並行して、配送ルートの見直しも実施し、トラックの数を減らすことでコストと環境負荷を軽減できる配送体制の構築にも取り組む。

 そのほか、価格政策としては、いなげや店舗ではEDLP(エブリデー・ロー・プライス)を推進する。現在は、一般食品や日配品、雑貨などを中心に3か月~1年程度の期間同じ価格で提供する「ベストセレクト」を展開。これらのカテゴリーの売場の約7~8割がベストセレクトの対象だという。今後もさらにEDLPを加速させつつ、特売などによるハイ&ローと組み合わせながらお客に安さを訴求していきたい考えだ。

  いなげやは213月期通期連結決算予想を上方修正し、営業収益2610億円(対前期比2.6%増)、営業利益60億円(同157.6%増)、経常利益62億円(同136.4%増)、当期純利益35億円(同410.5%増)を計画している。なお、中期3か年経営計画の目標数値については、新型コロナウイルスの影響を考慮しながら修正し、来期までに発表するとのことだ。

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記事執筆者

松尾 友幸 / ダイヤモンド・チェーンストア 記者

1992年1月、福岡県久留米市生まれ。翻訳会社勤務を経て、2019年4月、株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア入社。流通・小売の専門誌「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部に所属。主に食品スーパーや総合スーパー、ディスカウントストアなど食品小売業の記者・編集者として記事の執筆・編集に携わる。趣味は旅行で、コロナ前は国内外問わずさまざまな場所を訪れている。学生時代はイタリア・トリノに約1年間留学していた。最近は体重の増加が気になっているが、運動する気にはなかなかなれない。

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