「豚丼」に続いて「韓国カフェ」も! 低リスクFCで躍進するワンズトラインの戦略

千葉 哲幸 (フードサービスジャーナリスト)
Pocket

韓国のカフェを日本でFC展開

 ワンズトラインでは2023年12月3日、大阪・心斎橋のアメリカ村に「BONTEMPS(ボンタン)」という韓国カフェを新たにオープンした。韓国で7店舗を展開している、韓国ドーナツとクリームコーヒーで人気のカフェだ。

 現地では、日本のZ世代がわざわざ飛行機で韓国まで行き、このカフェに訪れるという。同店の看板商品であるドーナツは1個約500円、メインは5個セットで約2500円と、既存のドーナツチェーンと比べると高い。山内氏は「当初はZ世代の感覚がわからなかったが、ヒットしている裏側にどのような価値観があるのかを知りたくなった」と話す。

ワンズトライン代表の山内仁氏

 2022年に現地から同社にオファーがあり、「われわれはこれに取り組む意義があるのか」と社内的に議論を重ねてきた。

 「私はいま40歳で、感覚は60~70代の人と大差なく、Z世代とは大きな隔たたりがある。Z世代は生まれたときからパソコンやスマホがある。世の中との距離感がわれわれとは全く違う。Z世代はあと10年もすると、世の中の消費の中心を占めることになるのだから、この若い世代の動向を学ぶ必要がある」と山内氏は話す。

 店がまだない状態にもかかわらず、加盟店から多くの問い合わせが寄せられたことも決断を後押しした。また、アルバイトの募集をしたところ、11月1~13日の間で約460人から応募があったという。「若い世代は『自分が働きたいところで働きたい』という感覚を持っているということを痛感した」(山内氏)という。

2023年12月から展開を始めた「BONTENPS」は韓国で人気のカフェで日本にもファンが多い

 韓国カフェ「ボンタン」のフランチャイズロイヤリティは月間売上の5%、自己資金の目安は500万円。収益性などについては同社のホームページに掲載されている。

 飲食のフランチャイズチェーンは50年の歴史を経て、新時代を迎えているようだ。いま、飲食チェーンに求められているものは、専門性、テーマ性、ストーリー性がしっかりとしていること。そして、初期投資が低く、手堅く利益を出せることだ。山内氏の飲食ビジネスに対する取り組み姿勢は、今の時代に適格なものであると筆者は感じる。

1 2

記事執筆者

千葉 哲幸 / フードサービスジャーナリスト
柴田書店『月刊食堂』編集長、商業界『飲食店経営』編集長を歴任するなど、フードサービス業界記者歴ほぼ40年。業界の歴史を語り、最新の動向を探求する。著書に『外食入門』(日本食糧新聞社、2017年発行)。

関連記事ランキング

関連キーワードの記事を探す