沈まぬアパレルその4 オンワード、三陽商会、レナウン……百貨店依存型アパレルの苦難
老舗アパレルメーカーの苦境が鮮明になってきた。アパレルメーカー各社はこれまで、百貨店との“運命共同体”を形成することで成長を図ってきた。だが、近年は百貨店不振による相次ぐ店舗閉鎖で行き場を見失いつつあり、いよいよ足元に火が付いてきた状況だ。各社は遅ればせながらもEC拡大に活路を見出そうとしているが、果たして間に合うか――。
業界に衝撃、オンワードの「600店舗閉鎖」報道
「23区」を筆頭に多数の有力ブランドを抱えるアパレル大手、オンワードホールディングス(東京都)が10月、国内外の店舗約3000店のうちの約2割に相当する約600店舗を閉鎖すると発表した。このニュースはアパレル業界のみならず、百貨店業界にも衝撃を与えた。
この店舗リストラでとくに大きな影響を受けると見られるのが、地方百貨店だ。大都市から離れたローカルエリアを本拠とする百貨店では、現在でも「オンワード」ブランドが“頼みの綱”となっているのが実情だ。
ある経営コンサルタントは「オンワードのブランドが入っているから、百貨店としての威厳が保たれていることは否定できない。オンワードが撤退したら、百貨店としての存在意義すら危ぶまれる」と危惧する。
2019年12月現在、オンワードは具体的な店舗閉鎖計画を明らかにしていない。これからどこの店を閉めるのか。戦々恐々としている地方百貨店は少なくない。