グリーニアム消滅で、しぼむESG投資が息を吹き返す条件と小売業への影響とは
E(環境)、S(社会)、G(企業統治)の要素を考慮し、環境対策や社会的課題の解決に取り組む企業に投資する「ESG投資」。SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の機運の高まりとともに2020年頃から国内でも注目されるようになったESG投資だが、ロシアのウクライナ侵攻やエネルギー価格の高騰、記録的なインフレなどを背景にかつての勢いが弱まりつつある。
トーンダウンするESG投資
ESG投資の現在の状況について、三井物産戦略研究所、産業情報部産業調査室主任研究員の大西勝氏は、「“化けの皮”がはがれて実態の伴わない『名ばかりESG投資』が顕在化し、総じてESG投資に向かう熱が低下している」と指摘する。
ESGファンドのパフォーマンスは芳しくなく、直近では資金流出額が流入額を上回る月も見られる。大西氏は、その理由について「22年はESGファンドでの構成比が大きいハイテク銘柄の株価が下落した一方、原油やコモディティの価格高騰に伴って構成比が小さい石油銘柄などが好調だったため」と解説する。
ESG投資と同様に、グリーンボンド(環境債)やソーシャルボンド(社会貢献債)などのESG債もトーンダウンの傾向が見られる。ESG債は同じ発行条件のほかの債券と比べて価格が高く、利回りが低くなる点で発行体が有利に発行できるため、発行額を大きく伸ばしていた。この現象を、「グリーン」と「プレミアム」を合わせた造語で「グリーニアム」と呼ぶ。発行条件が同じであるほかの債券と比較して、グリーンボンドの利回りが低下し、債券価格は高くなる現象を指す。投資家はグリーンボンドの将来価値が高いと見て、低い利回りを許容するためにプレミアムが付く。
しかし、金利上昇といった金融環境の変化や「グリーンウォッシュ」に対する批判の高まりなどを背景に、
DCS Report の新着記事
-
2024/07/16
ロピア、初のFC、初の沖縄店舗を徹底調査!本土と同じ点、違う点とは -
2024/07/04
ミニストップ、進化した独自モデルの実力と戦略とは -
2024/07/02
老舗うなぎ店もスーパーも採用「特殊冷凍」がビジネス変える! -
2024/06/18
イトーヨーカ堂の新総菜ブランド「ヨーク・デリ」のねらいとは -
2024/06/18
ローカルスーパー生き残りの一手!オギノHDが青果卸買収のねらい -
2024/06/17
食品スーパーも学ぶべき!杏林堂最新店の地産地消食MDとは
この連載の一覧はこちら [225記事]
![DCS Report](https://diamond-rm.imgix.net/wp-content/uploads/2020/07/DCS-Report680.jpg?auto=format%2Ccompress&ixlib=php-3.3.0&s=e79acaca1dcba96fd20a94a92db62b95)
関連記事ランキング
- 2024-06-18ローカルスーパー生き残りの一手!オギノHDが青果卸買収のねらい
- 2024-06-17ヤオコー、バローHD、サミット 24年3月期決算分析と今期の戦略
- 2023-06-26上場スーパーマーケット27社22 年度決算分析&ランキング 明暗、再編加速へ
- 2024-06-04明暗!ライフ、U.S.M.H、アークス、2024年2月期決算分析!
- 2024-06-04クスリのアオキがSMを転換し「杏林堂」と競争!強みと課題とは
- 2024-07-04ミニストップ、進化した独自モデルの実力と戦略とは
- 2024-06-17食品スーパーも学ぶべき!杏林堂最新店の地産地消食MDとは
- 2023-04-18“ロピア化”するスーパーバリュー 越谷エリアで至近の2店舗が見せる連携と棲み分けとは
- 2024-05-14イオン、セブン&アイの24年2月期決算分析 今後の成長戦略とは
- 2022-02-21サミット×トモズが手がける、お客のQOL向上狙う「けんコミ」