アマゾンは敵じゃない!モノタロウの快進撃が続くワケ

高浦佑介 (ダイヤモンド・ホームセンター編集長)
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新規顧客獲得は
量より質に

モノタロウのHP
モノタロウはビッグデータを分析することで、サイトの最適化に取り組む

 ウェブサイトの改善も同時に進めてきた。よりお客さまがわかりやすく、便利に商品検索できるようにするためのデータ基盤を構築する。それを実現するためのデータサイエンティストの採用を東京都、大阪府で進めてきた。通年の目標人数は2030人で、上期では10人採用できた。

 現在、商品点数は1800万点超ある。2011年くらいから、「より多くの品揃えすること」を第一優先課題として取り組んできた。しかし、ここ23年は品揃えよりもデータを活用することによって、それぞれのお客さまに適した商品を最短で提示することをめざしている。今もこれがいちばんの優先課題だ。

 これまでSEO対策や、テレビCM、ウェブ広告を打つことで新規顧客を獲得してきた。その際、新規獲得した顧客数を重要な指標としてみていた。しかし、その顧客が登録した後に、どれくらいモノタロウのサービスを利用しているかを知る必要がある。新規獲得の顧客数は3割以上増加しているが、売上は3割も伸びていない。つまり、既存顧客よりも利用率の低いユーザーが増えているということになる。

 この下期からは、獲得件数を主眼に置かない。お客さまが最初にどの商品を見たのか、そこから何を購入したのか、どういう業種なのか、といったデータを分析する。それにより、これからお客さまがどれだけモノタロウを利用するポテンシャルがあるのかを考慮に入れた指標をつくっていく。1人で数百万円使ってもらえるような優良顧客を、より多くのコストをかけてでも獲得する必要がある。

 これらの施策に取り組むことで、通年では売上高1362億円(対前期比24.4%増)、営業利益165億円(同19.9%増)の計画達成をめざす。引き続き、企業規模の大小問わず、どんな人でも簡単に、便利に工具・間接資材が手に入るようなサービスをつくっていく。(談・文責 高浦佑介)

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記事執筆者

高浦佑介 / ダイヤモンド・ホームセンター編集長

2010年東京大学文学部卒業、12年同大学院修士課程(社会心理学)修了。14年ダイヤモンド・リテイルメディア入社。『ダイヤモンド・チェーンストア』誌の編集・記者を経て、19年4月より現職。

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