ペルノ・リカール・ジャパン代表取締役社長 ノジェム・フアド
プレミアム志向のトレンドを追い風により高付加価値の商品に注力していく

2019/06/01 00:00
ダイヤモンド・チェーンストア編集部
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──なるほど。日本の文化に寄り添った提案であり、日本の消費者に響きそうですね。

フアド 「寄り添う」と申しましたが、私どもは日本の文化に対して敬意をもって接しており、「シーバスリーガル ミズナラ12年」はその敬意の表れでもあります。

 実は、当社のウイスキー主要商品「ジェムソン」においても、同様の商品を手がけました。日本人アーティストYU SUDA氏とのコラボによる日本限定商品「ジェムソン ジャパン リミテッド2018」を発売したのです。ブランド史上初となる、一カ国限定の数量限定商品だったのですが、予想を上回る反響で大成功を収めることができました。

 こうした取り組みこそ、当社の家庭用市場における商品戦略の柱となります。単に、高価格帯商品をアピールするのではなく、日本の文化に焦点を当て、日本のお客さまの心に響くプロモーションを行う。そうすることで、私どものブランドを体験し、その価値を感じ取り、ファンになっていただく。それが私どものめざすところです。

 現在、「シーバスリーガル」では、同ブランドの要である「ブレンド」を訴求するために、「SUCCESS IS A BLEND ─ブレンドは成功のもと」というグローバルキャンペーンを展開中です。キャンペーン広告には各国を代表する多彩な才能の持ち主を起用していますが、日本では宮藤官九郎氏を起用させていただきました。脚本家、監督、俳優、ミュージシャンなど多方面で活躍し、さまざまな才能をブレンドさせて人々を魅了する宮藤氏と、「シーバスリーガル」ブランドの魅力をシンクロさせて表現した広告は高評価をいただいており、大変うれしく思っています。

4つの強みを生かし他社との差別化を図る

──御社のような世界的企業の場合、グローバルとローカルのバランスが重要だと思いますが、どのように取り組んでいますか。

フアド グローバル化が急速に進む昨今ですが、ペルノ・リカール グループではあえて分権化という方針を採用し、それぞれの現地法人が独自のやり方で取り組む非中央集権型のビジネスを貫いています。できるだけ消費者に近い存在であり続けることで、お客さまのニーズに迅速に対応するためです。それがブランドを永続させるうえでも大きなカギになると考えています。ですから、当社のビジネスは消費者中心主義といえるでしょう。

──日本市場での競争環境については、どのようにとらえていますか。

フアド 競合他社が多く、競争は厳しいと感じています。しかしながら、昨今のプレミアム志向のトレンドを追い風に、当社ならではの強みを生かし、めざましい発展を遂げていると自負しています。

 当社の強みは大きく4つ挙げられます。まず、お客さまのニーズに対応したラグジュアリーブランドを保有していること、2つめはより魅力的な商品を開発できるイノベーション力、3つめは消費者中心主義というビジネスモデル。そして4つめは高い意識をもった社員です。なかでも営業担当者は知識とスキルを兼ね備えたプロフェッショナル集団といえるでしょう。組織としては業務用と家庭用に分かれていますが、「丹念につくりあげたスピリッツとワインブランドのポートフォリオを提供し、日本の皆様の特別なひと時を創出する」というミッションのもと、それぞれの情報を共有しながら、シナジー効果を発揮させています。

──今後の展望をお聞かせください。

フアド しばらくはプレミアム化の流れが継続すると見ています。当社においても、引き続き、より付加価値の高い商品を開発し、パートナーである小売様と連携しながら、お客さまとのつながりをさらに深めていきたいと考えています。そうすることで、今後も十分に成長できると確信しています。

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