ライフ、上期稼ぐ力維持も23年2月期は業績下方修正…小売業悩ます電気代高騰

2022/10/12 05:55
    小野 貴之 (ダイヤモンド・チェーンストアオンライン 副編集長)
    Pocket

    「稼ぐ力は落ちていない」

     一方で、決算説明会に臨んだ岩崎高治社長は「稼ぐ力は落ちていない。決して悲観する数値ではない」と述べている。

     約4割の減益となったものの、経常利益は「(巣ごもり需要があった前期、前前期に続く)過去3番目に高い数字」(岩崎社長)を記録。既存店売上高も前年同期との比較では同1.3%減だったものの、コロナ禍前(19年)の比較では、5.1%増と高い水準を維持している。

     粗利益率も、資源高騰・円安影響を受けた水産と畜産がともに対前年同期0.4ポイント減となったものの、そのほかの部門は改善を見せ、食品全体の粗利益率は同0.3ポイント上昇した。

     また、23年2月期通期で売上高200億円を目標とするネットスーパー事業も好調に推移しており、上半期の売上高は同50%増に伸長しているという。「8月単月の実績を12倍すれば、目標(200億円)に近い数字になるところまできている」(岩崎社長)とし、前期通期実績(96億円)を大きく上回るのは間違いなさそうだ。

    通期業績を下方修正

     ただし、この先もエネルギー価格・原材料価格が高止まりすることが予想されることから、ライフでは中間決算発表の同日に通期業績の予想を下方修正している。

     修正後の23年2月期通期業績予想は、営業収益が当初予想から70億円減の7630億円、営業利益が同62億円減の17億円、経常利益が60億円減の180億円、当期純利益が40億円減の115億円。いずれもコロナ禍前との比較では高い水準ではあるものの、微減収、各段階利益は20%以上の減益になると見込む。

     10月6日に発表されたオーケー(神奈川)の関西進出についての質問がおよぶと、「(関西に)進出してくるという噂だけが先行していたが、今回の発表によって場所もはっきりした。これで準備ができると考えると逆によかった」と岩崎社長はコメント。続けて、「ただ、関西もこれから人が増えるわけではない。厳しい戦いになるだろう」と述べている。

     終わりの見えないコスト高、値上げ圧力、そして競合の進出とライフが乗り越えるべき壁は多い。食品スーパーのリーディングカンパニーの次なる打ち手は何か。ひとまずは今期の通期決算、そして来年に発表を控える第7次中期経営計画の中身に注目したいところだ。

    1 2

    記事執筆者

    小野 貴之 / ダイヤモンド・チェーンストアオンライン 副編集長

    静岡県榛原郡吉田町出身。インターネット広告の営業、建設・土木系の業界紙記者などを経て、2016年1月にダイヤモンド・リテイルメディア(旧ダイヤモンド・フリードマン社)入社。「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部に所属し、小売企業全般を取材。とくに興味がある分野は、EC、ネットスーパー、M&A、決算分析、ペイメント、SDGsなど。趣味は飲酒とSF小説、カメラ

    © 2024 by Diamond Retail Media

    興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
    DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

    ジャンル
    業態