2021年度日本版顧客満足度指数調査、ドラッグストア業種ではコスモスが11年連続トップ
サービス品質設問に基づく分析
本稿では、上位4社の顧客満足に関係の深い要因は何かについて解説してみたい。JCSI調査では、企業のサービス改善に役立つために、サービスの品質をより詳細に評価するためのサービス品質設問(以下、SQIとする)が46問用意されている。図表❹は、上述の4社のSQIの調査結果のうち、顧客満足スコアとSQIの平均値の相関係数を高いものから10問選択したものである。あるSQIの相関係数が高いということは、満足度の高い(低い)顧客は、あるSQIの評価も高い(低い)と解釈する。なお、相関係数の高さだけで、原因と結果の関係を主張することはできない点に注意が必要である。
「コスモス」のSQIの結果(図表❹-1)を見ると、「ここで購入した商品を実際に使って、満足している」や「【企業名】は、顧客である私の利益を第一に考えている」の相関係数が高く、順位も高い。これらの結果は、「コスモス」が、コスト・パフォーマンスのよいサービスを顧客に提供し、それが顧客からも高く評価されていると解釈できる。
「サンドラッグ」のSQIの結果(図表❹-2)を見ると、「商品・サービスの価格表示は適切である」や「商品・サービスの陳列・表示は適切である」の相関係数が高く、順位も高い。「サンドラッグ」は、電子棚札の導入などのオペレーションの効率化に取り組んでおり、その取り組みが顧客にも影響した可能性がある。
「ウエルシア」のSQIの結果(図表❹-3)を見ると、「ポイントプログラムが魅力的である」や「セールやイベント、キャンペーンが魅力的である」の相関係数が高く、順位も高い。これらの結果は、「ウエルシア」の顧客がTポイントをお得に増やしたり、使えたりするポイントプログラムを高く評価していると解釈できる。
「ツルハドラッグ」のSQIの結果(図表❹-4)を見ると、「ウェブサイト(携帯サイトを含む)には、有益な情報が掲載されている」の相関係数が高く、順位も高い。これは、「ツルハドラッグ」がスマートフォンアプリの会員拡大と配信コンテンツの充実を図ったことが影響した可能性がある。
JCSI6指標やSQIの結果には、各企業・ブランドのサービスの特徴や企業戦略が関係していると考えられる。
あるサービスに対する顧客の期待は、顧客とそのサービスとの相互作用だけでなく、ほかの企業・業種のサービスからの影響も受ける。そのため、DgS業種の各社は、他社に遅れをとらぬようサービスのデジタル化や顧客データを活用したマーケティングに取り組んでいる。今後も、このような共通の施策だけでなく、他社と差別化するための取り組みにも注視していきたい。