コロナ、円安でもユニクロ過去最高益の秘密と、他のアパレルが絶対勝てない理由とは
円安なのに為替差益が発生?
一般に、アパレル企業などリテールビジネスは円高と内需に強く、円安と内需が弱まると産業競争力がなくなってゆくといわれていた。今、どこのアパレルも円安による調達コスト上昇により(アパレル産業は98%が海外生産)、利益をむしばんでいると判で押したように言っている。もちろん、ファーストリテイリングも、円安による調達コストの上昇や原材料の高騰に直面し、商売が難しくなると言っている。それでも収益は落ちていないし、むしろ為替差益が発生しているのだ。岡﨑健グループ上席執行役員CFOはさらりと言ってのけたが、これは、同社のように海外事業の割合が大きくなると、海外資産価値が、円安によって相対的に上昇し利益を235億円も押し上げている。ここからも、グローバル化によるリスク分散と吸収が見て取れる。円安になれば、アパレルは利益率が低下するというのは、先進的企業にはあてはまらない公式なのだ。
それでは、同社の原価を見てみよう。原価は粗利の逆数なので、21年度上期の原価率は50.1%に対し、22年度上期は48.4%と1.7ptも改善している。これは、岡崎CFOや柳井会長の言葉、「これだけ為替が円安になると原材料費が数倍近くなり、値上げをせざるをない」という言葉と矛盾しているように見える。
同社はどのように円安を吸収しているのだろうか。
河合拓のアパレル改造論2022 の新着記事
-
2023/01/24
「大ディスカウント時代が到来」 この意味が分からないアパレルの未来は悲観的な理由 -
2023/01/17
H&MやZARA等が原価下回る価格で取引を強要 SDGs時代にこんなことが起こる必然の理由 -
2023/01/10
ビッグデータを制する企業が勝利する理由と、M&Aできない企業が淘汰される事情 -
2022/12/27
2023年のアパレル大予測 外資による買収加速・DX失敗・中国企業に完敗、が起こる理由 -
2022/12/20
中国企業傘下の仏メゾン「ランバン」米国で上場 いまや中国企業に追いつけない理由 -
2022/12/13
過去のヒットからAIが予測し売れる服を自動生成!?アパレル業界の課題とこれからとは
この連載の一覧はこちら [55記事]
![河合拓のアパレル改造論2022](https://diamond-rm.imgix.net/wp-content/uploads/2022/01/kawai_2022_main.jpg?auto=format%2Ccompress&ixlib=php-3.3.0&s=e9dc3f80edc0322e9898e59423e5b4dc)
関連記事ランキング
- 2024-06-25「パリコレ」にアパレル業界人が行かなくなった理由
- 2024-07-02日本人が大好きな衣料品セール 安く買うのが難しくなる理由とは
- 2024-07-23ユニクロに通じる…ファミマが検討中の衣料専門店が「台風の目」になる理由
- 2024-06-19インバウンドで最高益続出!日本人が知らない「百貨店の価値」とは
- 2024-06-29人気アナリストが解説、主要小売7業態決算総括と24 年度の展望
- 2024-07-09あなたの会社も要注意!「善意の行動」が仕組みを破壊するメカニズム
- 2024-06-11日本人の服がこの10年で「ペラペラ」になった本当の理由
- 2023-01-06SHEIN TOKYO「売らない店」現地レポート!担当者が明かす、低価格3つの理由とは
- 2024-07-12値下げ率大きいユニクロと値下げ率小さいしまむら どちらが高収益?
- 2024-07-16ユニクロ式多頻度・小幅値下げとシーズン末大セール、どちらが得か