総額売上高33期ぶり過去最高更新! 絶好調の老舗百貨店・松屋が示す「長期計画」

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松屋(東京都/古屋毅彦社長)は414日、20252月期(24年度)通期決算を発表した。訪日外国人の増加に伴い、主力の百貨店事業で免税売上高が大幅に伸長したことから、総額売上高は33期ぶりに過去最高を記録。同事業の好調が牽引するかたちで、全体業績も大幅な増収・増益で着地した。決算の概要と新たな経営計画についてレポートする。

松屋銀座本店 iStock:854863162

インバウンド需要の取り込みに大きく成功

 松屋の252月期通期決算(連結)は、売上高が対前期比16.7%増の481億円、営業利益が同50.8%増の44億円、経常利益が同51.9%増の44億円と、大幅な増収増益となった。一方で、当期純利益は税金費用の増加により、同9.4%減の23億円となった。

 業績を押し上げたのは、主力である百貨店事業の好調だ。同事業の売上高は同16.5%増の399億円、営業利益は同45.2%増の41億円だった。

 絶好調の背景には、インバウンド需要の取り込みをねらった各店舗における戦略的な取り組みがある。

 主力店舗の「松屋銀座本店」(東京都中央区)では、化粧品やラグジュアリーブランド、宝飾時計などの販売をさらに強化した。松屋の執行役員本店副店長(MD担当)である大高壽美代氏は「とくに中国本土からの来店客をターゲットとし、春節や国慶節などの大型連休に合わせた販売施策や為替キャンペーンを実施したことが功を奏した」と説明する。実際、中国本土からの来店客による24年度の売上高は、対前年度比121.9%増の384億円と、過去最高額を大きく上回った。

 また、2411月から従来のオンライン販売に加え、商品を予約・注文し店頭で受け取れるオムニチャネルプラットフォーム「matsuyaginza.com」をローンチした。同サービスでは、百貨店初となる免税購入機能を実装したことで、インバウンド客の利便性向上と新規顧客の獲得につながった。

 「松屋浅草店」(東京都台東区)では、入居する商業施設「EKIMISE」との相互送客や、浅草の老舗店舗との共同販売企画に注力。来店客への訴求力を高めたことで、業績向上に寄与した。

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