経済正常化で百貨店復調の兆し=2024年の小売業を振り返る
百貨店業界はコロナ禍で業績が大きく落ち込んだものの、経済正常化に伴う人流の回復により復調の兆しを見せている。さらに、円安を追い風にインバウンド需要も復活しつつあり、高級ブランド品などの販売が好調に推移している。
三越伊勢丹ホールディングス(東京都)では24年3月期決算において、「新宿伊勢丹本店」(東京都新宿区)と「三越銀座店」(東京都中央区)が過去最高の売上を記録。こうした都市部の百貨店の好調もあって、23年の全国百貨店売上高は5兆4211億円と、コロナ禍前19年の水準にあと少しのところまで近づいている。

一方、回復基調にある都市部とは対照的に、地方の百貨店は業績が低迷している。人口減少、消費志向の変化、ショッピングセンターとの競争激化など、地方を取り巻く環境は厳しさを増しており、地方百貨店の閉店や経営破綻のニュースが相次いでいる。
24年8月末時点における全国の百貨店店舗数は179店舗と、10年前と比較すると約4分の3に減少した。最近では、地方百貨店の撤退跡にディスカウントストアや食品スーパーが出店するケースも増えている。
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