アパレルをオワコン化させているのは「人災」であるこれだけの理由
ロシア営業継続を取り消したユニクロに何があったのか?

私は前回、ZARA、H&Mは、資本主義2.0の世界の新しい「勝ちの定義」をつくる一方でファーストリテイリングは方針が出しにくく板挟みの日本政府、そして、米中などイデオロギー戦争の狭間に翻弄されると予想したが、それが早くも現実のものとなったようだ。3月10日、事前の営業継続方針を覆し、ファーストリテイリングはロシア国内50店舗の営業を一時休業することを発表した。一時は営業継続を表明していたため日経新聞によると、欧州の売上に占めるロシアの割合は40%に達するという。日本、グレーターチャイナでの業績停滞が見られる中で、全体業績への影響は小さくはなさそうだ。
ファーストリテイリングは、ウクライナにも20万点の衣料品を供給し(これは、世界一であるといわれている)、自らのビジネスに政治的イデオロギーは関係ないという信念をもっている。だがこの信念も、資本主義国家で不買運動が起きるなど、世界で巻き起こっている「アンチ・モスクワ」という感情には勝てなかった。注目すべきは、柳井氏が日経新聞誌上で発言した「当社がアップルのような米国企業であれば直ぐに営業活動をとめただろう」という言葉だ。
これは、「国家としてのスタンスが明確な米国では、企業はその国の方針に従うが…」という意味と類推する。
ここでも、本来国家間の対立が「企業」と「国」
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