アパレルをオワコン化させているのは「人災」であるこれだけの理由

河合 拓 (株式会社FRI & Company ltd..代表)
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 ロシア営業継続を取り消したユニクロに何があったのか?

Moscow, Russia - March 24, 2017: two Japanese geisha girls in traditional kimono in Riviera shopping center at the opening of a new store UNIQLO Unique Clothing Warehouse(Elen11/istock).
Moscow, Russia – March 24, 2017: two Japanese geisha girls in traditional kimono in Riviera shopping center at the opening of a new store UNIQLO Unique Clothing Warehouse(Elen11/istock).

私は前回、ZARAH&Mは、資本主義2.0の世界の新しい「勝ちの定義」をつくる一方でファーストリテイリングは方針が出しにくく板挟みの日本政府、そして、米中などイデオロギー戦争の狭間に翻弄されると予想したが、それが早くも現実のものとなったようだ。310日、事前の営業継続方針を覆し、ファーストリテイリングはロシア国内50店舗の営業を一時休業することを発表した。一時は営業継続を表明していたため日経新聞によると、欧州の売上に占めるロシアの割合は40%に達するという。日本、グレーターチャイナでの業績停滞が見られる中で、全体業績への影響は小さくはなさそうだ。

ファーストリテイリングは、ウクライナにも20万点の衣料品を供給し(これは、世界一であるといわれている)、自らのビジネスに政治的イデオロギーは関係ないという信念をもっている。だがこの信念も、資本主義国家で不買運動が起きるなど、世界で巻き起こっている「アンチ・モスクワ」という感情には勝てなかった。注目すべきは、柳井氏が日経新聞誌上で発言した「当社がアップルのような米国企業であれば直ぐに営業活動をとめただろう」という言葉だ。

これは、「国家としてのスタンスが明確な米国では、企業はその国の方針に従うが」という意味と類推する。

ここでも、本来国家間の対立が「企業」と「国」の対立関係になるのか私には釈然としないものに見える。米国輸入禁止、パリでの査察、中国綿の使用から戦争国での営業活動まで、すべて、国が一企業を攻めている関係にある。こんな状況では「黙って様子をみて、大樹に寄る」人間が日本に増えチャレンジやイノベーションが生まれないのはあたりまえだろう。

 

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記事執筆者

河合 拓 / 株式会社FRI & Company ltd.. 代表

株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。大手通販 (株)スクロール(東証一部上場)の社外取締役 (2016年5月まで)。The longreachgroup(投資ファンド)のマネジメントアドバイザを経て、最近はスタートアップ企業のIPO支援、DX戦略などアパレル産業以外に業務は拡大。会社のヴィジョンは小さな総合病院

著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「生き残るアパレル死ぬアパレル」「知らなきゃいけないアパレルの話」。メディア出演:「クローズアップ現代」「ABEMA TV」「海外向け衛星放送Bizbuzz Japan」「テレビ広島」「NHKニュース」。経済産業省有識者会議に出席し産業政策を提言。デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言

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