受注から完成まで5分以内! ローソンが実験するゴーストレストラン事業をレポート

2022/02/04 05:55
    大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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    25年度にまでに
    1000店舗体制めざす

     実際に「ローソン飯田橋三丁目店」の実証実験の様子を取材した。

     レジ奥にある店内厨を見ると、主な調理設備は、フライヤー、電子レンジ、炊飯器のみとシンプルで、火を使った調理は行っていない。
    ローソンが店内調理のオペレーション設計でこだわったのが、スピードだ。素材はすべてキット化されており、「チキンオーバーライス」の場合、容器に店内炊飯した米飯を盛り付け、その上にカット野菜を敷き、加熱済みの鶏肉をレンジアップしてのせてトッピングを飾れば完成だ。すべてのメニューを、1人前であれば受注後から5分以内で完成できるようにしている。

    受注
    専用端末でデリバリーアプリならの注文を受け取る
    5分
    厨房で調理する様子。すべてのメニューを、1人前であれば受注後から5分以内で完成できるようにしている

    完成

     サービスの利用動向については、開始したばかりにもかかわらず、多い日では10件以上の注文が入っているという。利用が多い時間帯は昼と夜で、とくに13時~15時がボリュームゾーンとなっている。人気はメーンのチキンオーバーライスで、お酒やサイドメニューを合わせた2人用のセットメニューを購入する人も徐々に増えているという。

     今後ローソンはこのゴーストレストラン事業導入店を、23年2月末までに関東圏で100店舗、25年度に全国で1000店舗を視野に拡大していきたい方針だ。
    ローソン新規事業本部新規サービス推進部の舟橋龍太氏は「今回の実験では従来と異なるコンビニエンスを提供することで、新しいお客さまの獲得に挑戦している。世の中の変化に対応し、検証を重ねながら新たなサービスとして育てていきたい」と述べている。

     全国に多くの店舗網を有するコンビニが、出来たて総菜の調理・デリバリーに乗りだしてくれば、商圏内の食ニーズを争奪する競争はますます激化してくると言える。ローソンのゴーストレストラン事業は今度、どれほど広がりを見せるのか注目だ。

    【実験概要】
    実験店舗 ローソン飯田橋三丁目店(東京都千代田区飯田橋3丁目6-5)
    アプリに表示される店舗名(屋号)「NY飯!チキンオーバーライス飯田橋三丁目店」
    注文受付時間 10:00~21:30

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    記事執筆者

    大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

    1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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